第2次 災害対策調査班ConeBeamCT研究班第6次 循環器撮影実態調査班











循環器X線撮影装置の皮膚線量実態調査班

2014年1月〜 活動開始したワーキンググループ です。

名 称 : 循環器X線撮影装置の皮膚線量実態調査班
班 長 : 関口 博之 (青梅市立総合病院)
班 員 : 飯田 由梨 (東海大学医学部付属八王子病院)
    : 石田 浩之 (新東京病院)
    : 上野 浩輝 (埼玉石心会病院)
    : 橘高 大介 (昭和大学病院)
    : 田倉 寛恵 (総合新川橋病院)
    : 田邉 頌章 (横浜市立市民病院)
    : 藤村 耕平 (東京医科大学八王子医療センター)
オブザーバー : 塚本 篤子 (NTT東日本 関東病院)



活動目標および内容 :
 日本循環器学会より「循環器診療における放射線被ばくに関するガイドライン」(2011年改訂版)が発表され、また、前WG(西田-塚本班)の活動から5年が経過しFPD搭載装置に更新されている現状も踏まえ、再度皮膚線量の実態調査を確認することを目的とする。
 本研究班では、前WGの調査対象施設に今回もご協力をお願いして皮膚線量(IVRポイント)の実測を行うと共に、不変性検査ファントムによる画質評価も検討していきたい。

(活動実績)
◇ (口演)第72回日本放射線技術学会総会学術大会 2016年4月
 ・ 多施設測定による循環器X線撮影装置の空気カーマ値の実測値と装置表示値の実態調査
 ・ 循環器X線撮影装置のPCI条件下における線量実態調査追跡と現状報告
 ・ 多施設間でのPCIの被ばく低減意識アンケート調査と透視撮影線量の関係について
◇ 循環器X線撮影装置におけるPCI条件下での多施設線量実態追跡調査 : (口述)第80回日本循環器学会学術集会 2016年3月
◇ 関東域におけるPCI条件下での線量実態の追跡調査 −2005年調査との比較− : (口述)第31回日本診療放射線技師学術大会 2015年11月
◇ 循環器X線撮影装置の装置表示線量に関する多施設実態調査 : (ポスター)CCT2015 2015年10月

(活動報告)
◇ 

2016.4.14 第72回日本放射線技術学会総会学術大会 報告
(口述) セッション名:Radiation control Angiography/放射線管理血管撮影

多施設測定による循環器X線撮影装置の空気カーマ値の実測値と装置表示値の実態調査

報告者 : 田邉 頌章(横浜市立市民病院)

【背景】
 近年、面積線量計搭載装置が増加しリアルタイムに線量を表示できる装置が一般的になっており、その表示値から患者皮膚被曝線量を推定している。しかし、その装置表示値がどの程度正確なのか個々の施設で調査した報告はあるものの、多施設で多くの装置の誤差を調査した報告はない。

【目的】
 循環器画像技術研究会では患者照射基準点での空気カーマの実測値と装置表示値との差の現状を把握するため多施設で実態調査を行った。

【方法】
 研究会所属の22施設の22装置を対象とし、SID110cm、吸収体として3.5mm厚の銅板をFPD前面に貼り、寝台を除いた状態で患者照射基準点にて透視は2分間、撮影は10秒間で電離箱線量計を用いて空気カーマを測定した。この時同時に装置表示線量を記録した。また電離箱線量計は全施設同一のものを使用した。得られた数値から誤差率を算出し、評価した。また、JIS(Z 4751-2-43:2012)において積算基準空気カーマは、表示値から±35 %以下の誤差でなければならないとされており、この誤差を超えている装置の割合を算出した。

【結果】
 誤差率の平均は透視で15±10%、最大で39%、最小で0.6%であった。撮影で15±10%、最大で39%、最小で-1%であった。また、±35%を超えた装置は透視で13%、撮影で9%であった。

【考察】
実測値と表示値は透視、撮影ともに平均で約15%の差であり、多くの装置でJISの規格内に収まっていた。しかし、差が±35%以上ある装置も約10%あった。装置表示線量を使用して患者皮膚被曝線量を推定する場合、実測値と誤差があることに留意する必要があり、また、定期的な管理の必要性が示唆された。

【結論】
装置表示値から、できるだけ正確な患者の皮膚被曝線量を推定するためには、自施設の装置の特徴を理解する必要があり、そのためには線量測定を定期的に行い、表示値を調整するか、換算して使用することが必要である。


★新規性
 本研究は、22施設における透視および撮影時の空気カーマの実測値と装置表示値の誤差の実態調査である。空気カーマの表示値と実測値の関係は個々の装置・施設で調査した報告はあるものの、多施設の多くの装置の誤差の調査を行った報告はない。今回の調査により多施設の装置表示値と実測値の誤差の実態を明らかにしたところに新規性があると考える。実際今回の調査によって表示値は実測値より平均で約15%高く表示されていること、約10%の装置はJISの規定値を超える誤差があることがわかった。より正確な患者皮膚被曝線量を装置表示値より推定するには、自施設の装置の線量測定による管理が重要であることを明らかにした。




2016.4.14 第72回日本放射線技術学会総会学術大会 報告
(口述) セッション名:Radiation control Angiography/放射線管理血管撮影

循環器X線撮影装置のPCI条件下における線量実態調査追跡と現状報告

報告者 : 上野 浩輝(埼玉石心会病院)

【目的】
 循環器画像技術研究会では2005年に関東域の施設を対象に、循環器X線撮影装置におけるPCI時の透視及び撮影線量率の調査を行った。今回、追跡調査し、10年間の変化とその要因について報告する。

【方法】
 2005年に測定した28施設を対象に、各施設のPCI時での設定条件で透視及び撮影線量率をIVR基準点で、天板上に電離箱線量計を置き、その上に20cm厚のアクリルを配置し、透視2分間、撮影10秒間の測定を行った。

【結果】
 透視線量率は平均15.0±8.0mGy/min、撮影線量率は3.0±1.4mGy/sとなり、2005年の透視線量率29.2±14.4mGy/min、撮影線量率4.2±1.9mGy/sに比べ、透視線量率は49%減少し、撮影線量率は28%減少した。2005年ではI.I.装置は21施設、FPD装置は7施設であったが、今回は全てFPD装置であった。I.I.装置からFPD装置に更新した施設において、透視線量率は平均13.8±6.8mGy/min、撮影線量率は3.1±1.6mGy/sとなり、透視線量率は52.7%、撮影線量率は33.0%共に減少した。FPD装置からFPD装置に更新した施設において、透視線量率は平均18.6±10.6mGy/min、撮影線量率3.0±1.0mGy/sとなり、透視線量は36.0%減少したが、撮影線量率に変化がなかった。透視パルスレートは、2005年には8パルス以下が14%、8パルス超が86%だが、今回はそれぞれ71%、29パーセントとなった。撮影フレームレートには変化がなかった。診断参考レベルの値より高い施設が21%あった。

【考察】
 透視、撮影共に多くの施設が減少傾向を示した。測定した28施設中21施設がI.I.装置からFPD装置に更新し、平均線量低減率が透視及び撮影共に大きかった。このことからFPD装置保有施設増加が線量率減少の要因と考えた。また、透視の低パルスレートの使用も透視線量率低減の要素であり、被ばく低減意識が寄与していると考えられる。

【結語】
 被ばく低減意識の向上による透視の低パルスレートの使用、装置の更新が透視及び撮影線量率低減の要因であった。


★新規性
 2005年に関東域の施設を対象に行われた、循環器X線撮影装置におけるPCI時の透視及び撮影線量の実態調査の追跡調査を行った。2005年と比較し、透視撮影線量率の低減がみられ、その要因として装置の発達や全国循環器撮影研究会の循環器被ばく低減推進施設認定事業や血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師認定制度が開始され、被ばく低減意識も向上し、透視及び撮影設定の最適化が行われていると考えた。このように、10年間の透視撮影線量率の推移を報告した例はなく新規性があると判断した。また、本邦初の診断参考レベルとの比較も新規性があると考える。




2016.4.14 第72回日本放射線技術学会総会学術大会 報告
(口述) セッション名:Radiation control Angiography/放射線管理血管撮影

多施設間でのPCIの被ばく低減意識アンケート調査と透視撮影線量の関係について

報告者 : 藤村 耕平(東京医科大学八王子医療センター)

【背景】
 循環器画像技術研究会では2005年に、多施設間でのPCIの被曝低減意識を調べるためアンケートと透視撮影線量率の実態調査を行った。それから10年が経過し、前回調査をした施設を中心にアンケートと線量率の変化を追跡調査したので報告する。

【目的】
 多施設間でのPCIのアンケートと線量率の追跡調査を行い、2005年時の調査と比較することにより被曝低減意識と線量率の関係を検討する。

【方法】
 前回測定した施設を中心とした31施設に対し、「患者被曝に対して医師と意見交換をしているか」等の被曝低減意識に関する設問10項目のアンケート調査を実施した。アンケート結果の各項目を1点とし10点満点でスコア化し評価した。またPCI時に使用する条件で透視及び撮影線量率をIVR基準点で測定した。測定は患者テーブル上に電離箱線量計(DOSIMA線量計:トーレック株式会社)を設置し、その上に20cm厚のアクリルを置き、透視は2分間、撮影は10秒間で測定を行った。得られたアンケートスコアと線量率の関係を10年前と比較した。

【結果】
 アンケートスコアの平均は7.8±2.1点となり10年前の6.0±2.6点と比べ1.8点向上した。透視線量率の平均は16.3±8.6mGy/min、撮影線量率の平均は3.0±1.4mGy/secとなり、10年前と比較し透視線量率は42%が減少し、撮影線量率は30%減少した。また10年前はアンケートスコアと線量率の関係は負の相関(r=−0.49)を示したのに対し、今回は相関がなかった。(r=0.02)

【考察】
 今回アンケートスコアと線量率は相関を示さなかった。これは10年前と比較し各施設の被曝低減意識が向上し、透視、撮影線量率が低減されたことにより、アンケートスコアと線量率の施設間較差が減少したためだと考える。したがって10年前の結果ではアンケート項目の被曝低減意識が線量低減の指標となり得たが、今後は被曝意識だけではなくDRLs等の新しい基準や指標が必要になってきていると考える。


★新規性
 心臓カテーテル検査において被曝線量の最適化は重要な課題であり、循環器画像技術研究会では2005年に多施設間でのPCIの被曝低減意識を調べるためのアンケートと透視撮影線量の実態調査に関する報告がされている。そこで今回、再度多施設間でのアンケートと透視撮影線量率の実態を追跡調査することによって、現状の被曝低減意識と線量率の関係を明らかにできないかと考えた。被曝線量の低減や最適化は様々な成果が報告されているが、過去の多施設間でのアンケート調査と線量測定による被曝低減意識の追跡調査は報告されておらず、新規性があると考えられる。




2016.3.20 第80回日本循環器学会学術集会 報告
(口述) セッション名:チーム医療セッション 一般演題3  「侵襲検査、不整脈、放射線防護」

循環器X線撮影装置におけるPCI条件下での多施設線量実態追跡調査

報告者 : 関口 博之(青梅市立総合病院)

【目的】
 循環器画像技術研究会では2005年に循環器X線撮影装置におけるPCI時の透視及び撮影線量の多施設実態調査を行った。それから10年が経過し、前回測定した施設において線量の変化を追跡調査したので報告する。

【方法】
 前回測定した29施設を対象に、各施設のPCI時に使用する設定で透視及び撮影線量のIVR基準点を同一測定器(DOSIMA線量計:トーレック株式会社)で測定し、比較・検討した。測定は患者テーブル上に電離箱線量計を設置し、その上に20cm厚のアクリルを置き、透視は2分間、撮影は10秒間で測定を行った。

【結果】
 測定の結果、透視線量は平均で15.8±8.7mGy/min、撮影線量は3.1±1.4mGy/secであった。10年前の透視線量29.0±14.0mGy/min、撮影線量4.2±1.9mGy/secとくらべ透視線量は45%減少し、線量最大較差は8.5倍から7.9倍となった。撮影線量は27%減少し、線量較差は12.9倍から7.9倍となった。6月に発表されたIVRの診断参考レベル:透視線量率20mGy/minと比較すると、24%の7施設が大きい値を示した。

【考察】
 PCI時の線量は透視、撮影共に10年前と比較して多くの施設が減少傾向を示した。また撮影に比較し透視の線量率が下がったのは、透視での低パルスレートの使用や付加フィルタの使用が考えられた。以上のことから線量が減少したのは、装置の改良もあるがユーザーの意識向上によるFOVサイズやパルスレート、付加フィルタの工夫で最適化を実践していることが大きな要因である。




2015.11.22 第31回日本診療放射線技師学術大会 報告
(口述) 演題区分 :血管撮影@

関東域におけるPCI条件下での線量実態の追跡調査 −2005年調査との比較−

報告者 : 石田 浩之(新東京病院)

【目的】
 循環器画像技術研究会では2005年に関東域の施設を対象にPCI時の透視及び撮影線量の実態を調査した。それから10年経ち、PCI時の線量の変化を追跡調査した。

【方法】
 22施設を対象に、各施設におけるPCI時の設定で透視及び撮影線量をIVR基準点で測定し10年前と比較・検討した。同様に、被曝低減に実施している行為をアンケート調査した。測定は患者テーブル上に電離箱線量計を設置し、その上に20cm厚のアクリルを置き、透視は2分間、撮影は10秒間で行った。

【結果・考察】
 透視線量は平均値26.8±11.7から16.4±9.3mGy/minに、撮影線量は3.7±1.8から3.0±1.4mGy/sに10年前と比べて減少傾向となった。透視のパルスレートは、最頻値が15から7.5パルスとなり、低減化の要因と考えられる。被曝低減の為の実施項目の割合は増加し、スタッフの意識向上も考えられる。

【結語】
 PCI時の線量は10年前と比較して多くの施設が低線量化の傾向を示した。




2015.10.31 CCT2015(Complex Cardiovascular Therapeutics 2015) 報告
(ポスター) 演題区分 :Poster Session 放射線技師

循環器X線撮影装置の装置表示線量に関する多施設実態調査

報告者 : 田邉 頌章(横浜市立市民病院)

【目的】
 近年、面積線量計搭載装置が増加し、リアルタイムに線量を表示できる装置が一般的になっている。そこで循環器画像技術研究会ではIVR基準点での実測値と装置表示値との差の現状を把握するため、多施設で実態調査を行った。

【方法】
 研究会所属23施設の23装置を対象とし、統一条件下(15パルス/秒、7インチ相当)で透視及び撮影線量を測定し、実測値と装置表示値を比較・検討する。測定位置はIVR基準点とし、寝台や散乱体を除いた状態(吸収体はFPD側に銅板2o)と、撮影台に線量計を置きその上に20cm厚のアクリルを置いた状態で、其々透視は2分間、撮影は10秒間で測定する。同時に装置表示値を記録する。電離箱線量計は全施設同一とする。

【結果・考察】
 散乱体なしの実測値と表示値の差分の絶対値の百分率(以下、差分割合とする)の平均は、透視15.1%、 撮影17%であった。この差分割合には、装置表示線量の基準位置が実測位置であるIVR基準点と異なる装置が含まれているため、15%以上と大きくなったと考えられる。散乱体ありの差分割合は透視15.9%、撮影15.8%であった。これは、前記の差分に加え散乱体からの後方散乱と撮影台の吸収の影響が含まれている。

【結語】
 23装置の実測値と装置表示値の差分割合の平均では、散乱体有無とも15〜20%であった。しかし、散乱体なしでは最大約40%、散乱体ありでは最大約50%も装置表示値が異なっている装置があった。このことから、より正確な患者の皮膚被曝線量を装置表示値から推定するためには、自施設の装置の線量測定を行って換算する事が必要である。






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