FPD研究班

2005年5月〜2010年3月 活動終了したワーキンググループ です。

名 称 : FPD研究班
班 長 : 佐藤久弥 (昭和大学横浜市北部病院)
班 員 : 今関雅晴 (千葉県循環器病センター)
    : 岩澤亜矢子(横浜労災病院)
    : 岡崎憲吾 (東京医科大学病院)
    : 千葉敏春 (横浜市立大学附属市民総合医療センター)
    : 成田紗織 (東海大学医学部附属八王子病院)
    : 安田慶光 (昭和大学藤が丘病院)
※前班員 : 山下慎一 (東京慈恵会医科大学附属病院)
       堂領和彦 (順天堂大学医学部附属順天堂医院)
       武 俊夫 (昭和大学病院)
       萩原充人 (横浜労災病院)

活動目標および内容 :
 “FPD搭載循環器X線装置を今使用していない施設が、簡単に自分の施設にあったFPD搭載装置選択し、十分に使いこなせる環境を整える” ことを目標として研究を進める。
 研究内容として、各メーカーのいずれの装置から出力された画像でも評価できるように、(1)画質比較用ファントムを作成し、(2)視覚評価・物理評価を行う。


(活動実績)
◆ FPD搭載装置に必要な日常点検について : (論文)循環器画像技術研究 No.28-2 2010年9月
◇ 循環器装置・CT装置のQC・QA 〜管理すべきPoint !!〜 : (シンポジウム)第263回循環器画像技術研究会 2010年3月
     FPD搭載装置に必要な日常点検について
◇ FPD搭載循環器X線装置の画像ノイズを考慮した装置管理 : (口述)第18回日本心血管インターベンション治療学会学術集会(CVIT2009) 2009年6月
◇ バイプレーンFPD搭載循環器専用撮影装置における正面と側面の画質比較 : (口述)第65回日本放射線技術学会総会学術大会 2009年4月
◇ FPD搭載循環器X線撮影装置における被写体厚−被曝線量測定の装置間比較 : (ポスター)CCT2009 (Co-Medical) (優秀演題) 2009年1月
◇ FPD搭載循環器X線撮影装置における 被写体厚−被曝線量測定の装置間比較 : (口述)第36回日本放射線技術学会秋期学術大会 2008年10月
◆ 循環器撮影装置の経時的画像管理 「日常点検項目の提案 − 標準化に向けて −」 : (論文)循環器画像技術研究 No.26-2 2008年9月
◆ 島津ユーザー(FPD装置の現状) : (論文)循環器画像技術研究 No.26-2 2008年9月
◇ 循環器撮影装置の保守管理と安全使用 : (シンポジウム)第243回循環器画像技術研究会 2008年3月
     FPD搭載装置の経時的画像管理
◇ FPD装置管理について : (パネルディスカッション)第236回循環器画像技術研究会 2007年6月
     FPD装置管理の現状 Part.2
◇ FPD搭載循環器X線装置の導入後に伴う問題点の実態調査 : (口演)第20回日本冠疾患学会学術集会 2006年12月
◇ FPD搭載循環器X線画像の処理画像と保存画像の比較 : (ポスター)CCT2006 (Co-Medical) 2006年9月

(活動報告)
◇ 2009年度、 2008年度、 2007年度、 2006年度、 2005年度


2009.06.25 第18回 日本心血管インターベンション治療学会学術集会(CVIT2009) 報告
(コメディカル一般口演) 演題区分 : 放射線一般2「アンギオ2」

FPD搭載循環器X線装置の画像ノイズを考慮した装置管理

報告者 : 岩澤 亜矢子 (横浜労災病院)

【目的】
 FPD搭載循環器X線装置は、メーカで同一画質が得られるように調整されている。しかし、標準化された画質評価方法が無く、現状では装置管理も確立していない。
 今回、FPD搭載バイプレーン循環器X線装置の正面・側面を用いて、画質における信号とノイズを用いた装置管理について検討したので報告する。

【方法】
 半年以内にX線出力調整を行っている5施設5社のFPD搭載バイプレーン循環器X線装置を用いた。銅板ステップをIVRポイントの高さに、その上にアクリル板を0〜30cmまで5cm間隔で変化させて置き、画像を収集した。
 撮影は、各施設の正面・側面のジオメトリーを統一し、撮影レートは15f/s、AUTO条件で撮影を行った。得られた画像より、銅板の各ステップ画像の同一関心領域の信号とノイズ量を測定し、標準偏差を用いたSNR値による評価と、画像に含まれる全ノイズ量から入射X線量との比率で表したカンタムノイズ量(Nq)を除したX線量に依存しない電気ノイズ(Ne)に分けた評価を行った。

【結果・考察】
 各装置共、被写体厚変化に伴う正面・側面のSNR値はほとんど差異がなかったが、ノイズ評価においては差異を認められた装置があった。
 変化が最も大きい装置では、撮影時正側の比率はNqが0.5と0.6に対し、Neが3.0と5.3であった。このことから、正側の画質間に線量や線質のほかに、高圧ケーブルの長さや配線の環境などのシステム的な要因で起こるノイズが関与していると考える。

【結語】
  画像の信号とノイズを用いた装置管理は、SNR評価に加えNq,Neを解析することにより、ノイズの発生因子を明らかにすることができ、装置管理の一方法として期待できることが示唆された。




2009.04.19 第65回 日本放射線技術学会総会学術大会 報告
(口述) 演題区分 : X線検査(心カテ)

バイプレーンFPD搭載循環器専用撮影装置における正面と側面の画質比較
Comparison between the front and lateral image quality with FPD X-ray device

報告者 : 岩澤 亜矢子 (横浜労災病院)

【目的】
 バイプレーン装置の正面・側面(以下正側)は、同一画質が得られるように調整されている。しかし、その正側の画質評価ツールは無く、装置管理の現状は把握されていない。そこで今回は、臨床で使用しているバイプレーンFPD搭載循環器専用撮影装置(以下:FPD)で得られる被写体厚変化に伴う信号およびノイズを、各装置の正側でそれぞれ測定し、個々における画質の比較・評価を行ったので報告する。

【方法】
 半年以内にX線出力調整を行った5施設5社のFPDの正側を用いた。銅板ステップ(以下銅板)をIVRポイントの高さで画角中央に置き、その上にアクリルを重ね、0から30cmまで、5cm間隔で変化させた。正側のジオメトリーを統一し、AUTO条件で透視・撮影を行い、銅板の各ステップ画像より、同一関心領域の信号とノイズを測定した。データは、標準偏差を用いたSNR値による方法と、画像に含まれる全ノイズ量から入射X線量との比率で表したカンタムノイズ量(以下Nq)を引き、X線に依存しない電気ノイズ量(以下Ne)と分けて評価した。

【結果・考察】
 各FPDの被写体厚変化に伴う信号変化は正側でほとんど差異がなかった。ノイズ評価では、SNR値に差異を認め、変化が最も大きい装置では、撮影時正側の比率はNqが0.5と0.6に対し、Neが3.0と5.3であった。これより、正側の画質間には、線量や線質のほかに、システム的な要因で起こるノイズが関与していると考えられる。

【結語】
 SNR評価に加え、画質を左右するノイズの発生因子を明らかにすることで、FPDの正側の画質に違いが生じているとことが示唆された。また、この結果を今後のFPD管理につなげたい。



22009.01.30 CCT2009 (Co-Medical) ポスターセッション抄録(優秀演題)

FPD搭載循環器X線撮影装置における被写体厚−被曝線量測定の装置間比較

報告者 : 安田 光慶 (昭和大学藤が丘病院)

【目的】
 現在多くのFPD搭載循環器専用撮影装置(以下 FPD)が稼動しているが,被写体厚の増加に伴い被曝線量が急激に増加しているとの報告がある.しかし,複数のFPDにおいてその線量を調査された報告は少ない.そこで各社のFPDにおいて,被写体厚の変化が入射表面線量と画質にどのように影響するか検討した.

【方法】
 7台のFPDにおいて20,25cm厚のアクリルを用い,それぞれ入射皮膚吸収線量を電離箱線量計で測定した.また,円筒形容器に造影剤を水希釈し封入した信号と解像力チャートを,線量測定時と同条件で透視・撮影を行い,得られた画像からSNRとCNRおよび解像力(視覚的に観察し解像力限界)を測定した.

【結果および考察】
 アクリル厚を厚く変化させた時,入射皮膚吸収線量の増加率が最も低かった装置と比較し,3装置において約3倍の線量増加が見られた.SNR・CNR・解像力は,透視・撮影共に各FPD装置においてほぼ同等であった.これはFPDが被写体厚に合わせた線量変化を,フィルターや撮影条件で調整して画質低下を補償し,被写体厚が増加しても画質を一定に保つ特性のためと考えられた.しかし,アクリル厚増加により最もSNRが変化しなかった装置と比較し,約3.1倍の変化が1装置において見られ,適切な線量が入射していない可能性が考えられた.

【結語】
 被写体厚の変化による入射表面線量の増加率は装置によって異なったが,測定した装置の多くは画質を一定に保つための被写体厚変化に伴う線量変化と確認されたが,一部の装置では被写体厚変化に伴う皮膚入射線量が最適化されていない可能性が示唆された.



2008..10.23 第36回 日本放射線技術学会秋期学術大会 報告
(口述) 演題区分 : 血管撮影(IVR)

FPD搭載循環器X線撮影装置における 被写体厚−被曝線量測定の装置間比較

報告者 : 安田 光慶 (昭和大学藤が丘病院)

【目的】
 循環器領域では、30°〜60°の撮影角度を使用する場合も多く、「IVRに伴う放射線皮膚障害の防止に関するガイドライン」に沿ったアクリル20cmの一方向だけの測定結果だけで患者被曝線量を予想することは困難である。そこで、我々はアクリル20cmと25cmの線量を画質変化と共に複数のFPD搭載循環器X線撮影装置(以下FPD装置)で測定したので報告する。

【方法】
 6施設7台のFPD装置において20cm/25cm厚のアクリルを用い、それぞれIVR基準点にて入射皮膚吸収線量を電離箱線量計で測定した。また、直径2cmの試験管にオムニパーク300を50%に水希釈し封入した自作ファントムと解像力チャートを線量測定時と同条件で透視・撮影を行い、得られた画像からSNRとCNRを測定し、解像力を視覚的に観察した。

【結果および考察】
 アクリル厚20cmを25cmにすると、多くのFPD装置では入射皮膚吸収線量は約2倍に増加したが、約3倍まで増加する装置もあった。SNR・CNR・解像力は、透視・撮影共に各FPD装置においてほぼ同等であった。このことから、FPD装置は被写体厚に合わせた線量変化をフィルターや撮影条件で調整して画質低下を補償し、被写体厚が増加しても画質を一定に保つと考えられた。

【結語】
 FPD装置では被写体厚の違いにより線量増加率が異なるため、ガイドライン測定法で患者被曝線量管理を行う場合は、各装置の被写体厚特性を考慮した被曝線量の推定が必要と考える。また、被写体厚によって過剰な線量増加とならない画質調整と撮影条件設定が今後の課題と言える。



2006.12.9 第20回 日本冠疾患学会学術集会 報告

FPD搭載循環器X線装置の導入後に伴う問題点の実態調査

報告者 : 今関雅晴 (千葉県循環器病センター)

【目的】
 FPD搭載循環器X線装置(以下、FPD搭載装置)が多くの施設で導入されるようになり、画質や被曝線量に関する新たな知見が学会等で報告されているが、高感度・高画質のFPD特性を活かした設定の困難さがうかがえる。そこで循環器画像技術研究会では、FPD搭載装置の導入前後における使用状況について実態調査を行った。

【方法】
 当研究会および全国循環器撮影研究会に所属する施設で、FPD搭載装置を保有している施設を対象に、電子メールによるアンケート調査を平成18年8月に行った。調査項目は画像関連、基準入射線量、その他で、FPD搭載装置導入前後を比較して調査した。

【結果】
 有効回答数は27施設(5機種)であった。画像関連では、透視画像に満足が52%、撮影画像に満足が70%であった。基準入射線量では、I.I.搭載装置と比べて低くなった41%、高くなった15%、同等26%、不明18%であった。

【考察】
 基準入射線量がI.I.搭載装置と比べて同等あるいは多いと回答した施設が66%を占め、FPDの高感度特性が活かされていない。また、撮影に比べ透視画像の満足度が低いことも明らかとなった。

【結論】
 今回の調査から、FPD搭載装置の特徴がまだ十分には発揮されていない状況が見受けられた。今後、I.I.搭載装置で培ったデータや経験を生かし、FPD搭載装置における基礎的研究を進めて行きたい。



「FPD搭載循環器X線撮影装置における実態調査」について (終了しました。ご協力ありがとうございました。)
アンケート調査へのご協力のお願い (2006年8月14日〜8月26日)

 FPD搭載循環器X線撮影装置は、I.I.搭載装置と比較すると、低濃度部の描出能が高いことから被ばく線量の低減・造影剤使用量の低減などが報告されています。しかしFPD搭載装置を使用している施設の中には、“画質調整やX線量の設定など、臨床現場でFPD搭載装置の特性をどのように使いこなすのか?”という、疑問や問題点を抱えている施設が少なくありません。
 そこで, 当研究会では,この調査により、施設が抱えているFPD搭載循環器X線撮影装置に対する疑問や問題点を明らかにし、また,各施設で諸問題に対してどのように対処・解決しているのか、実態を把握したいと考えております。
 お忙しいところ誠に恐縮ではございますが、添付いたしましたアンケートにご回答の上、メールにてご返信くださいますようお願い申し上げます。

対象:FPD搭載循環器X線装置導入施設の皆さま
方法:インターネット上からアンケートファイルをダウンロードし、メールの添付ファイルとして回答
〆切:8月26日(土) 〜24:00
・アンケートファイル保管アドレス
・返信先メールアドレス
     (今関@千葉県循環器病センター)
 
ご協力をよろしくお願いいたします。

収集した施設情報、および個人情報の取り扱いについて
今回のアンケート調査により、ご回答に対する質問、追加発言を求める場合がございます。
そのため、アンケートのご回答の方と連絡が取れますように個人名、施設名、所属名、Eメールアドレスを記述する欄を設けました。
なお、アンケート結果は統計的にとりまとめ、施設情報、および個人情報などは一切公表いたしません。
ご多用のところ誠に恐縮ではありますが、本調査の主旨をご理解いただきご協力いただきますようお願い申し上げます。



循環器装置管理の標準化班

2006.9.22 CCT2006 (Co-Medical) ポスターセッション抄録

FPD搭載循環器X線画像の処理画像と保存画像の比較

報告者 : 佐藤久弥 (昭和大学横浜市北部病院)

【目的】
 FPD搭載循環器X線画像は、撮影装置システム内でクローズに扱う処理画像10242マトリックス(以下;処理画像)とCD-Rや動画サーバーへの保存画像5122マトリックス(以下;保存画像)が異なり、画質の比較・評価を困難にしている。そこで今回、メーカ毎の処理画像と保存画像を比較し、画質の違いを明らかにする。

【方法】
1) FPD搭載装置(5社5機種)で同一ファントム(コントラスト、鮮鋭度、粒状性が評価できる九州循環器撮影研究会作)を臨床使用条件で撮影し、得られた処理画像と保存画像をCD-Rへ保存する。
2) 撮影した画像に評価ポイントを設ける。
   a)ファントム組成の均一な画像中央および辺縁部位6箇所(a測定)
   b)高コントラスト組成域の画像中央および辺縁部位4箇所(b測定)
3) 動画収集開始15、30、45枚目の静止画像3枚を用いて各評価ポイントにおける階調を同一画像ビュワーで比較する。

【結果】
1) a)測定において、処理画像と保存画像で階調に差が見られた装置は2機種であった。
2) b)測定では、2機種で被写体厚が大きく階調が低い部位で処理画像と保存画像に差が見られた。被写体厚の小さな部位での階調変化はいずれの装置でも見られなかった。
3) 処理画像でも、画像中央と辺縁部位で階調が均一でない装置が3機種あった。

【結論】
 機種によって処理画像と保存画像の階調が変化する場合があり、特に被写体厚が大きい部位で生じやすい。階調の変化は病変の見え方に影響するため、処理画像と保存画像は同一であることが望まれる。





2009年度 FPD研究班 活動報告

班 長 : 佐藤 久弥(昭和大学横浜市北部病院)
班 員 : 今関 雅晴(千葉県循環器病センター)
      岩澤亜矢子(横浜労災病院)
      岡崎 憲吾(東京医科大学病院)
      千葉 敏春(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
      成田 沙織(東海大学八王子病院)
      安田 光慶(昭和大学藤が丘病院)

 

 今年度のFPD研究班は班員の岩津氏を中心として研究活動を行ってきた。その研究テーマは「パイプレーンFPD搭載循環器専用撮影装置における正面と側面の画質比較」である。
 活動は2009年5月13日から7月22日の約2か月にわたりFPD班員施設の装置をお借りして測定を行った。対象装置は島津、東芝、シーメンス、フイリップス、GEの5社を測定した。測定方法は9Bファントム(銅板ステップファントム)の上にアクリルを5cm間隔で、30cmまで重ねた各画像を、FPD搭載パイプレーン装置のFRONTおよびLATで収集した。得られた画像よりVq(カンタムノイズ)とNe(外来ノイズ)を導き、同装置のFRONTおよびLATにおけるノイズ、成分の比較検討を行った。これらのデータを用いて第65回日本放射線技術学会総会およびCVIT2009で発表した。

 現在は、班員の安田氏が2008年度に中心となって研究した「FPD搭載循環器X線撮影装置における被写体厚-被曝線量測定の装置問比較」について論文化を進めている。論文は解像力チャートによる画像評価、バーガーファ ントムによる低コントラスト評価、9Bファントムによる高コントラスト評価、エッジ法によるMTF測定のそれぞれの結果について、5社間(島津、東芝、シーメンス、フイリップス、GE)で比較検討した内容である。また、第36回日本放射線技術学会秋季学術大会およびCCT2008で発表した結果を踏まえて、必要に応じて再実験を行いながら2010年9月を締め切りとして取り組んでいる。

 FPD研究班は本研究会の方針により2009年度をもって新たな研究活動は行うことなく、現在までに培ってきたデータをもとに、論文投稿を視野に入れた活動に移行することとなった。



2008年度 FPD研究班 活動報告

班 長 : 佐藤 久弥(昭和大学横浜市北部病院)
班 員 : 今関 雅晴(千葉県循環器病センター)
      岩澤亜矢子(横浜労災病院)
      岡崎 憲吾(東京医科大学病院)
      千葉 敏春(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
      成田 沙織(東海大学八王子病院)
      安田 光慶(昭和大学藤が丘病院)

 

 今年度のFPD研究班は、2つの研究テーマを持ち、班員の安田氏と岩澤氏を中心として活動を行ってきた。その2つの研究テーマとは、FPD搭載循環器X線撮影装置における被写体厚一被曝線量測定の装置間比較と、パイプレー ンFPD搭載循環器専用撮影装置における正面と側面の画質比較である。安田氏の研究テーマは、前者の「FPD搭載循環器X線撮影装置における被写体厚一被曝線量測定の装置間比較」で、岩澤氏の研究テーマは、後者の「パイプレーンFPD搭載循環器専用撮影装置における正面と側面の画質比較」で、共に活動し、多くの学会等で、報告を行っ た。

1. 安田氏が中心に活動した発表について
 5月13日から24日にかけてFPD班員施設の測定を行った。収集データは、アクリル20cm、25cmを用いたIVRポイントでの吸収線量測定、および解像力チャートによる画像評価、パーガーファントムによる低コントラスト評価、9Bファントムによる高コントラスト評価、エッジ法によるMTF測定、その他多数のデータを収集した。これらのデータを用いて下記の学会で発表した。

  • 第36回 日本放射線技術学会秋季学術大会
  • CCT2008(優秀演題として選出された)

2. 岩澤氏が中心に活動した発表について
 5月13日から7月22日の約2ヶ月にわたりFPD班員施設の測定を行った。測定装置は、島津、東芝、シーメンス、フィリップス、GEの5社を使用した。9Bファントムにアクリルを重ねた画像をFPD搭載パイプレーン装置のFRONTおよびLATでデータ収集し比較検討した。これらのデータを用いて下記の学会で発表した。また、発表を予定して いる。

  • 第65回 日本放射線技術学会総会(発表終了)
  • CVIT2009(発表予定 )



2007年度 FPD研究班 活動報告

班 長 : 佐藤 久弥(昭和大学横浜市北部病院)
班 員 : 今関 雅晴(千葉県循環器病センター)
      岩澤亜矢子(横浜労災病院)
      岡崎 憲吾(東京医科大学病院)
      千葉 敏春(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
      成田 沙織(東海大学八王子病院)
      安田 光慶(昭和大学藤が丘病院)
      山下 慎一(慈恵医科大学病院)

 今年度のFPD研究班は、2つの研究テーマを持ち、それに伴い班員を2つの研究グループに分けて活動を行ってきた。その2つの研究テーマとは、各施設の線量調査・画質評価・FPDの固有差評価を行い、臨床現場で使用されているFPD搭載装置の現状を把握することを目的とした研究と、FPDに経時変化はあるか否かを調査する目的の研究である。グループ編成は、安田氏をグループ長として、岩澤氏、千葉氏の3名のグループと、山下氏をグループ長として、今関氏、岡崎氏、成田氏の4名のグループに分けた。研究テーマの担当は、安田グループは、前者の臨床現場で使用されているFPD搭載装置の現状把握を目的とした研究で、山下グループは、後者のFPDに経時変化はあるか否かを調査する目的の研究に決定し、共に活動が開始されている。下記に各研究の進捗状況を報告する。

1.安田グループについて
 5月13日から24日にかけてFPD班員施設の測定を行った。収集データは、アクリル20cm、25cmを用いたIVRポイントでの吸収線量測定、および解像力チャートによる画像評価、バーガーファントムによる低コントラスト評価、9Bファントムにいる高コントラスト評価、エッジ法によるMTF測定、その他多数のデータを収集した。これらのデータを用いて、

  1. X線撮影装置における被写体厚−被曝線量測定の装置間比較についてデータ分析を行い、第36回日本放射線技術学会秋期学術大会にエントリーを行った。
  2. 島津、東芝、シーメンス、フィリップス、GEの5社におけるFPD搭載バイプレーン装置のFRONTおよびLATのFPDを用いて、FPDの固有差について比較し、平成21年の第65回日本放射線技術学会総会へのエントリーを目標に活動している。

2.山下グループについて
 現在は、論文検索を行っている。今後の予定として、FPDの経年劣化の評価に関する論文検索を行い、得られた論文よりFPDの経年劣化評価に必要な項目の洗い出しを行う。長期にわたる測定のため、評価項目の洗い出しは特性要因図を作成し、FPDの経年劣化のどの部分を評価するか吟味し、測定の取り残しや取り間違えがないように十分注意して測定を開始する。



2006年度 FPD研究班 活動報告

班 長 : 佐藤 久弥(昭和大学横浜市北部病院)
班 員 : 今関 雅晴(千葉県循環器病センター)
      岡崎 憲吾(東京医科大学病院)
      武  俊夫(昭和大学病院)
      成田 沙織(東海大学八王子病院)
      岩澤亜矢子(横浜労災病院)
      山下 慎一(慈恵医科大学病院)

 今年度は、研究テーマの洗い出しを中心にインターネットにおいて10回の班会議を開催した。しかし、当初は研究の題材について検討していくことも困難な状態であった。その大きな要因は、FPD搭載循環器X線撮影装置が我々ユーザーの介入が安易に行うことができない装置システムであることであった。そこで、我々は臨床現場で起きている問題点についてまず検討をはじめることにした。

研究課題1
 FPD搭載循環器X線撮影装置は、システム内でクローズに扱う画像(1024*2マトリックス)とCD-Rや動画サーバーへ転送された保存画像(512*2マトリックス)とでマトリックスサイズが異なる。このことから、ユーザーが臨床現場で、画質の比較や画像の評価を行うことを困難にしている。そこで、メーカ毎に装置システム内画像と保存画像のデジタル値を比較して画質の違いについて検討を進めた。結果は、装置システム内の画像データ容量が非常に大きいこと、装置システム内の画像と保存画像ではデジタル値が変化していることを明らかにした。そこから我々は、画像のデジタル値変化は病変の見え方に影響を及ぼすため、装置システム内画像と保存画像は同一であることが望ましいと結論づけた。これは、CCT2006(神戸国際展示場にて9月開催)においてPoster Sessionsにて報告した。

研究課題2
 FPD搭載循環器X線装置は、臨床稼動から6年が経過した現状のなかで、いろいろな使用経験や特性について報告されている。これらの報告からも、FPDの特性を活かした設定にはさまざま困難があることが伺うことができる。そこで、FPD搭載循環器X線撮影装置の使用状況について実態を調査し、FPD画像の満足度、基準入射線量設定での問題点についてとりまとめた。調査結果は、FPDの透視画像の満足度が低いこと、基準入射線量はメーカによって大きな偏りが生じていることを明らかにした。これらの要因には、画像処理過程とFPDの低線量域での雑音性能が大きく関わっているものと推測した。また、さまざまなリアルタイム画像処理が施されているため、一定の画像評価法で評価することが困難であり、画像調整も困難にしているものと考察した。これは、第20回日本冠疾患学会(新宿京王プラザホテルにて12月開催)において、“FPD搭載循環器X線装置の導入後に伴う問題点の実態調査”として報告した。

 今後は、FPD搭載循環器X線撮影装置において、FPDの特性を充分に活かすための基礎的研究を進めて行きたいと考える。



2005年度 FPD研究班 活動報告

班 長 : 佐藤 久弥(昭和大学横浜市北部病院)
班 員 : 武  俊夫(昭和大学病院)
      今関 雅晴(千葉県循環器病センター)
      岡崎 憲吾(東京医科大学病院)
      山下 慎一(慈恵医科大学病院)
      成田 沙織(東海大学八王子病院)
      岩澤亜矢子(横浜労災病院)
      堂領 和彦(循天堂大学病院)
      安田 光慶(昭和大学藤が丘病院)

報告者 : 佐藤 久弥

1.研究目標と内容
 FPD 研究班は、2005年5月に発足し、班員は、9名である。FPD研究班の目標は、FPD搭載循環器専用装置を現在使用していない施設が、簡単に自施設にあったFPD搭載循環器専用装置が選択でき、装置を十分に使いこなせる環境を整えることである。研究内容は、自作ファントムを作成し、各メーカのFPD搭載循環器専用装置から出力される画像の視覚評価および物理評価を行うこととした。

2.活動状況
 1年目の活動状況は、FPDが臨床現場に登場してから現在までのFPD搭載装置関連の約100論文の検索を行い、FPD搭載装置はどのような評価が行われているのか、現状はどのような評価なのか、FPDの将来の方向性を各メーカはそれぞれどのように考えているのか等についてとりまとめを行った。次に各班員が、FPD搭載循環器専用装置および画質に対して、自施設で実際に起きている問題点の洗い出しを行い、メーカの違う装置間における同一な問題点の抽出を行った。また、透視・撮影画像を評価するためのファントムについて特性要因図を作成し、ファントム作成における要因・因子を抽出した。

3.現在の状況と今後
 現在は、その特性要因図で上げられた因子をいくつか組み合わせて、1024マトリックス1Obit階調以上と512マトリックス8bit階調の画像にどのくらいの違いを生じているかについて、九州循環器撮影研究会が作成したQCファントムを用いて、各施設の装置(GE社・シーメンス社・フィリップス社・島津社・東芝社)で撮影を行い評価している。今後は、この1年で得られた、実際のFPD搭載循環器専用装置の問題点や特性要因図を用いたファントム作成について研究をさらに進めていき、学会を通して結果・成果を報告していきたいと考えている。



循環器撮影研究会循環器画像研究会循環器技術研究会循環器研究会循環器撮影技術学会心血管画像研究会循研CITEC


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