循環器装置管理の標準化班













脈管計測技術研究班

1996年1月〜2003年3月 活動終了したワーキンググループです。

名 称 : 脈管計測技術研究班
班 長 : 景山貴洋 (千葉県循環器病センター)
班 員 : 佐藤久弥 (昭和大学横浜市北部病院)
    : 植木茂樹 (石心会 狭山病院)
※前班員 : 山口雅崇 (東京慈恵会医科大学附属病院)
全循研課題研究班員 : 今関雅晴 (千葉県循環器病センター)
          : 川中秀文 (小倉記念病院)



(原著)日本放射線技術学会雑誌 VOL.61 NO.1 71-78頁 2005年1月

血管走行の違いによる定量的冠動脈造影法の計測精度
Accuracy of Quantitative Coronary Angiography for Different Directions of the Coronary Artery

景山貴洋(千葉県循環器病センター)
今関雅晴( 同 )
佐藤久弥(昭和大学横浜市北部病院)
植木茂樹(石心会狭山病院)
若松修(NTT東日本関東病院)、佐藤次男(千葉県循環器病センター)
天内廣(横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター)、中津靖夫(昭和大学病院)

Summary
 We evaluated the effect of changes in the direction of the coronary artery in terms of the accuracy and precision of vessel diameter measurement in a quantitative coronary angiography system (QCA system). Vessel phantoms sized 0.3, 0.5, 1.O, 1.5, 2.O, and 2.5 mm in diameter were evaluated. The phantoms were aligned on an acrylic plate, and the angle to the television (TV) camera was altered. The deployed angles were 0(perpendicular), 45, 9O, and 135 degrees in clockwise order. The phantoms were imaged with matrices of 1024×1024 (10242), 512×512 (5122), and 512×1024. Image size was 7inches, and the frame rate was 15 frames per second. Minimal lumen diameters were measured on the ACA system. The results revealed that, in the 10242 matrix, overall accuracy for the 90-degree angle was significantly underestimated compared with the O-degree angle (-4.14 vs. -0.014 mm; p=0.007). Accuracy for the 90-degree angle was better than that for the O-degree angle when the vessel diameter was 1 mm or smaller (-0.02±0.16 vs. 0.10±0.22 mm). In addition, precision was better at the 90-degree angle than with the other angles in the 10242 matrix (overall precision=0.002 mm). In the 5122 matrix, overall accuracy for the 90-degree angle was significantly underestimated compared with the 45-degree angle (-0.077 vs. 0.096 mm; p=0.02). In addition, accuracy for the 90-degree angle was better than that for the 45-degree angle below 1 mm (0.05±0.24 mm vs. 0.26±0.47 mm). In terms of overall accuracy, the 45-degree angle in the 5122 matrix showed significant overestimation compared with that in the 10242 matrix (0.096 vs. -0.069 mm; p=O.015). There was no difference in accuracy in the 512x1024 matrix. Our results suggest that the direction of the vessel against the TV image affects accuracy of measurement in the QCA system.

緒言
 定量的冠動脈造影法(quantitatlve coronary angiography、以下、QCA)は、冠動脈造影像をコンピ ュータで解析し、狭窄率、狭窄径、狭窄長および対照血管径を計測する手法である。QCAの目的の第一は、経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention、以下、PCI)におけるデバイスサイズの決定支援、および、治療のエンドポイントの決定支援である。第二の目的は、PCI適応後の中長期成績、薬剤の再狭窄予防における評価などに用いられている。これらの目的で必要なQCAシステムの精度は0.1〜0.2mmといわれている。
 QCA システムの精度に影響を及ぼす因子には、さまざまなものが報告されている。このなかで、画像の解像度は代表的な因子であり、X線管焦点サイズ、血管とイメージインテンシファイア(image intensifier、以下、I.I.)との距離、イメージサイズ、管電圧などがある。これらに加えて、最近の研究により、I.I.-テレビジョン(以下、TV)系を使用したディジタル画像の解像度は、水平方向と垂直方向で異なることが知られている。ゆえに、同一径を有する血管においては血管の走行方向の違いによって血管径の計測値が異なることが示唆される。これが事実であるとすれば、QCAの計測精度も血管の走行方向の影響を受けることになる。しかし、このことを証明した報告はない。そこで、血管ファントムの方向を変えてQCAの計測精度を調べた。本研究の目的は、血管の走行方向の違いがQCAシステムの計測精度に及ぼす影響を検証することであった 。




(課題研究)全国循環器撮影研究会誌 NO.14 18-23頁 2002年

QCAの精度を左右する要因と基本技術

景山貴洋(千葉県循環器病センター)
今関雅晴( 同 )
佐藤久弥(昭和大学病院)
植木茂樹(石心会狭山病院)
川中秀文(小倉記念病院)
若松 修(NTT東日本関東病院)、佐藤次男(千葉県循環器病センター)、中澤靖夫(昭和大学病院)

目的
 近年、QCAはディジタルシネ画像の発展と相まって、冠インターペンション時のバルーンやステントサイズなどの決定支援に重要な役割を担うようになった。シネ画像の記録媒体もシネフィルムからデジタルテープ、CD-R 、さらにはRAID DISKへと確実に移行してきている。QCAもFilm-based QCA からデジタルテープあるいはCD-Rに記録されたデジタルシネ画像を用いるoff-line Digital QCA、デジタルシネ撮影した画像を直接QCA解析装置に取込み行うon-line Digital QCAが発展し、いわゆるDigital QCAが主流になりつつある。年々QCAソフトウエアのユーザーインターフェースも優れたものとなり、計測範囲を設定することによって大概はオートメーションで解析結果が得られ、計測の迅速化が図られている。一方、計測者は解析結果が限りなく真の血管径に近くなるよう正確に計測する技術が重要となる。このためには、冠動脈造影からQCAソフトウエアによる計測までの、計測精度を左右する因子を理解し、計測に関わる誤差を小さくする努力と工夫が必要となる。そこで、本研究ではDigital QCAに絞り、Digital QCAの計測精度に影響を及ぼす因子を整理し、計測精度を高めるための基本技術を検討した。

結論
 QCAの計測精度に影響を及ぼす主な因子を取り上げ、計測精度を高める方法を検討した。
 QCA 計測精度を高めるためには、
1) I.I.光学径の歪みを調べ、歪み率の小さい区域で、カテーテルと病変部を撮影する。
2) キャリプレーションは、カテーテル外径の平均値を求めてこの値を入力する。
3) 画像収集マトリクスは1024×1024以上、正方形マトリクスで撮影しDICOMフォーマットとする。
4) 強度のエッジ強調処理はせず、毎回同様の処理画像を用いる。
5) 撮影時にフィルターやコリメーションを的確に行い、病変部へのハレーションを防止する。
6) 計測する心位相をいつも同じにする。
7) 右冠動脈造影時は、パルス幅を4msecとして撮影する。
が重要であると考える。

(資料請求、お問い合わせは全循研事務局へ zenjunken@yahoo.co.jp



(課題研究)全国循環器撮影研究会誌 NO.13 10-14頁 2001年

定量的冠動脈造影法(Quantitative Coronary Angiography:QCA)における施設問差の実態調査

景山貴洋(千葉県循環器病センター)
今関雅晴( 同 )
佐藤久弥(昭和大学病院)
植木茂樹(石心会狭山病院)
若松 修(NTT東日本関東病院)、佐藤次男(千葉県循環器病センター)、中澤靖夫(昭和大学病院)

目的
 QCAは主にPTCA時のデバイスサイズの決定および治療効果の判定、さらにNew Deviceを用いた冠動脈治療の予後評価等のツールとして重要な役割を果たしている。このため、QCAの解析には十分な精度が要求される。一方、シネ画像はアナログからデジタルへと変り、その記録メディアはシネフィルムからDICOMフォーマットによるCD-Rへと着実に進化してきている。すでに我々はデジタルシネ撮影装置2機種におけるファントム実験から、DICOM画像は狭窄径が1mm以上で、QCA解析に適用可能であることを報告した。
 今回の研究目的は調査対象機種を増やし、血管狭窄ファントムを用いてon-line QCA およびoff-line QCAを行い、DICOM画像によるQCAの解析精度を調べたので報告する。

結論
 デジタルシネ撮影装置6機種を対象に、on-line QCAおよびoff-line QCAの解析精度について調べた。TLD が1.0mm〜3.0mmの範囲では、「Accuracy」・「Preecision」・「TLDとMLDとの相関係数」いずれにおいても、DICOM画像によるoff-line QCAと他のQCA(「on-line QCA」・「シネフィルムのoff-line QCA」・「デジタルテープのoff-line QCA」)で同様な結果が得られた。以上から、TLDが1.0mm〜3.0mmの範囲では、off-lineのDICOM画像もQCA解析に使用していけるものと考えられる。

(資料請求、お問い合わせは全循研事務局へ zenjunken@yahoo.co.jp



(一般課題研究)全国循環器撮影研究会誌 NO.12 34-37頁 2000年

DICOM画像による定量的冠動脈造影法の有用性について

循環器画像技術研究会
景山貴洋(千葉県循環器病センター)
今関雅晴( 同 )
佐藤久弥(昭和大学病院)
植木茂樹(石心会狭山病院)
若松 修(NTT東日本関東病院)、佐藤次男(千葉県循環器病センター)、中澤靖夫(昭和大学病院)

目的
 1995年、デジタル画像のフォーマットの標準化が、米国循環器学会(ACR)と国際電子機器工業界(NEMA)によってDICOM 3.0(Digital Imaging and Communication In Medicine)として規格化された。この規格化により、循環器X線撮影システムのデジタルシネ画像は、DICOM 3.Oに準拠したCD-Rへの記録が可能となり、CD-Rはシネフィルムに変わる保存メディアとなりつつある。
 定量的冠動脈造影法(Quantitative Coronary Angiography:QCA)は、PTCAなどインターベンション時のデバイスサイズ決定のための支援、治療の効果判定、薬剤投与による冠状動脈の狭窄予防効果の判定などに用いられ、従来からシネフィルムがゴールデンスタンダードとして用いられてきた。今後は、シネリプレースメントが進む中で、QCAはDICOMフォーマットされたデジタル画像で施行される可能性が高いと予想される。そこで、循環器画像技術研究会では、DICOMフォーマット画像によるQCAの有用性を検討するため、血管狭窄ファントムを用いて評価したので報告する。

結論
 DICOM画像のoff-line QCAは、計測精度および再現性の点から1mm以上の狭窄径に適用可能である。また、DICOM画像のoff-line QCAに用いるデジタルシネ画像は、 1,024×1,024以上のデジタルシネ画像をDICOMフォーマットする必要がある。今後は対象装置を増やし、DICOMフォーマット画像によるQCAの実態を調査する必要があると考える。

(資料請求、お問い合わせは全循研事務局へ zenjunken@yahoo.co.jp



(一般研究)全国循環器撮影研究会誌 NO.11 21-23頁 1999年

冠状動脈脈管計測の計測精度に影響を及ぼす因子の検討

佐藤久弥(昭和大学病院)
加藤京一( 同 )
武 俊夫( 同 )
景山貴洋(千葉県循環器病センター)
山口雅崇(東京慈恵会医科大学附属青戸病院)
植木茂樹(石心会狭山病院)
若松 修(関東逓信病院)、佐藤次男(千葉県循環器病センター)、中澤靖夫(昭和大学病院)

目的
 虚血性心疾患において、冠状動脈の狭窄性病変および正常血管径を正確に計測評価することは、治療方針を決定するうえで非常に重要である。
 今回、我々は、臨床において精度の高い計測を行うための第一歩として、冠状動脈の計測精度に影響を及ぼす諸因子を調査し明らかにする。また、その因子について現在までに明らかにされている問題点を整理する。

まとめ
 今回、冠状動脈の脈管計測において、精度の高い計測を行う為の第一歩として文献調査を行い、特性要因図を作成し主要因子を特定した。
 その主要因子は、
(1) カテーテル内の造影剤の有無
(2) 撮影管電圧
(3) カテーテルサイズ
(4) I.I.歪み
であることが明らかとなった。
 今後、冠状動脈の脈管計測の計測精度を高めるための対処法を検討して行くことが重要と考える。そのためにも今回の特性要因図の作成は、有効であると考える。

(資料請求、お問い合わせは全循研事務局へ zenjunken@yahoo.co.jp



(一般研究)全国循環器撮影研究会誌 NO.10 27-30頁 1998年

定量的冠動脈造影法におけるカテーテル・キャリブレーションの精度について

景山貴洋(千葉県循環器病センター)
植木茂樹(石心会狭山病院)
山口雅崇(東京慈恵会医科大学附属病院)
伊藤直樹( 同 )
佐藤久弥(昭和大学病院)
若松 修(関東逓信病院)、佐藤次男(千葉県循環器病センター)、五十嵐時男(東京歯科大学市川病院)、中澤靖夫(昭和大学病院)、長谷川光男(心臓血管研究所付属病院)

目的
 定量的冠動脈造影法(Quantitative Coronary Angiography)は、カテーテル径をキャリプレーションとして、冠状動脈径やその断面積、病変長などを客観的に定量化する計測手法である。冠状動脈径を正確に計測するためには、カテーテル・キャリプレーションの精度を高めることが要求され、このためには、キャリプレーションの際に計測装置がカテーテル径を正確に検出する必要がある。実際には、I.I.歪、撮影管電圧、カテーテル内の造影剤の有無、カテーテルサイズ等によりキャリプレーションの際に誤差が生じるとされている。そこで、off-line QCAにおけるカテーテル・キャリプレーションの誤差を明らかにし、キャリプレーションの精度を高めるための方法を検討した。

まとめ
 QCA-CMSを用いたカテーテル・キャリプレーションでは、カテーテルに造影剤を充填し、カテーテル外径をマイクロメータで実測した値を入力した場合に良好な結果が得られた。カテーテル・キャリプレーションをする際は、カテーテルに造影剤を十分に充填した状態で、シネ最影することが重要と考える。
 カテーテルに造影剤を充填しないカテーテル・キャリプレーションでは、使用するカテーテルによっては撮影管電圧の影響を受けやすい場合があることから、撮影管電圧には注意する必要があり、極力管電圧を低くして撮影する必要があると考える。

(資料請求、お問い合わせは全循研事務局へ zenjunken@yahoo.co.jp





2000年度 脈管計測技術研究班 活動報告

班 長 : 景山貴洋 (千葉県循環器病センター)
班 員 : 植木茂樹 (石心会 狭山病院)
    : 佐藤久弥 (昭和大学病院)
    : 今関雅晴 (千葉県循環器病センター)
    : 川中秀文 (小倉記念病院)

 定量的冠動脈造影法(QCA)は、冠動脈病変を解析する道具として確固たる地位を築いた。冠動脈のインターベンション施行時の正常血管径や、インターペンション後の狭窄径の推移を調べるために4mmくらいまでの径を計測する必要があるため、精度も高いものが要求される。ニューデバイスの治療効果、薬剤の再狭窄予防効果などの研究がQCAで多く報告される一方、精度の現状や精度に影響を及ぼす要因の研究が多くなされてきた。
 そこで、全国循環器撮影研究会の平成12年度課題研究に「QCAの精度を左右する要因と基本技術 」で応募した。本研究の目的は、現在までに報告されているQCAの精度に影響を整理し、精度を高めるためにはどうしたらよいか検討することにある。
 第15回全国循環器撮影研究会の研究報告では、I.I.光学系の歪み、キャリプレーション(カテーテルのサイズ、カテーテル内の造影剤の有無)、画像処理(画像収集マトリクス、コントラスト、エッジ強調処理)、画像フォーマット(DICOM画像を用いたときの解析精度)、撮影技術(フィルターやコリメーションの技術)、患者(心拍動による影響)を取上げ報告した。現在、QCAに携わる放射線技師向けの、よりよいQCAをおこなうための手引書「QCA計測マニュアル」を作成中である。




1999年度 脈管計測技術研究班 活動報告

班 長 : 景山貴洋 (千葉県循環器病センター)
班 員 : 植木茂樹 (石心会 狭山病院)
    : 佐藤久弥 (昭和大学病院)

 脈管計測技術研究班は、平成9年4月に発足し現在に至っている。発足の発端は、定量的冠動脈造影法(QCA)が、PTCA時のデイバイスサイズ決定のための支援ツールとして、ゴールデンスタンダードにされていることにある。ゆえにQCAに携わる放射線技師は、冠動脈の脈管計測に関わる技術を磨いておくことが重要となる。また、QCAには冠動脈の脈管計測の精度に影響を及ぼす因子が存在することから、因子を解析し脈管計測の精度を高める方法を案出することが必要となる。循環器画像技術研究会は、このようなQCAを取り巻く状況を鑑み、脈管計測技術研究班を発足させた。活動の最終目標は、QCAに携わる放射線技師向けの、よりよいQCAを行うための手引書を完成させる ことにある。このために、文献調査からはじまり、基礎的研究を行って日本放射線技術学会、全国循環器撮影研究会、心血管インターベンシヨン学会などに報告してきた。
 基礎的研究としては、カテーテル・キャリプレーション、脈管計測に影響を及ぼす要因図の作成、DICOM画像を用いたQCAの有用性である。DICOM画像を用いたQCAの有用性は全国循環器撮影研究会の研究助成を受け活動し た。現在は、同様に研究助成を受け手引書の作成が進行している。完成時期は平成13年3月であり、第15回全国循環器撮影研究会総会で報告し、手引書を配付する予定である。さらに、近い将来にQCAのテクニカルコースを企画、開催し、QCAに携わる放射線技師の技術向上に役立ちたいと考えている。
 また、2000年度より手引書の完成に向けて、川中秀文(小倉記念病院)、今関雅晴(千葉県循環器病センター)の二名を新たに班員として迎え、より充実した内容を目指して現在も精力的に活動中である。





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