脳血管IVR被曝線量調査班

2010年6月〜2015年3月　活動終了したワーキンググループ　です。

名　称　：　脳血管IVR被曝線量調査班
班　長　：　今関　雅晴　（千葉県循環器病センター）
班　員　：　太田　丞二　（新座志木中央病院）
　　　　：　川�ｱ　康平　（千葉県循環器病センター）
　　　　：　佐藤　和彦　（亀田総合病院）
　　　　：　鈴木　宏明　（東京慈恵医科大学附属病院）
　　　　：　高橋　宏之　（千葉県立がんセンター）
　　　　：　長谷川亮太　（千葉県循環器病センター）



活動目標および内容　：
　脳動脈瘤治療の第一選択がカテーテル治療となって、多くの患者に施術されるようになった。また、CCFやDural AVMでも脳外科医が積極的にカテーテル治療を選択するようになった。いずれの治療も長時間におよぶことがあり、皮膚障害や一次脱毛などの放射線障害が多く発生していると予測できるがその実態は明らかではない。
　脳血管IVRによる皮膚線量の推定と放射線障害の発生実態について調査し、現状報告として発表・論文投稿する。

（活動実績）
◇　脳血管内治療の被ばく線量　−J-RIMEによる診断参考レベルの公表を受けて−　（特別企画3）
　・　JSNETによる脳血管内治療のための放射線安全管理ガイドラインの策定　：
　　　　　（口演）第31回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会　2015年11月
◆　脳血管内治療における患者被ばく線量の評価　−アンケート調査にもとづく推定−　：
　　　　　（論文）JNET（脳神経血管内治療） Vol.8 No.5 Novenver 2014
　　　（★ 第31回 脳神経血管内治療学会学術総会において　「優秀JNET論文賞 『銀賞』」　を受賞）
◇　「脳血管内治療用頭部ファントム」を用いた透視線量と画質の多施設評価　：
　　　　　（口演）第30回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会　2014年12月
◇　「脳血管内治療用頭部ファントム」を用いた透視画質と被ばく線量の現状　：　（研究班報告）第308回循環器画像技術研究会　2014年9月
◆　A new reference point for patient dose estimation in neurovascular interventional radiology　：
　　　　　（論文）Radiological Physics and Technology　July 2013
◇　脳血管撮影における患者被ばく線量管理を目的とした基準点の考案　：
　　　　　（ポスター）第28回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会　2012年11月
◇　脳血管撮影の患者被ばく線量評価を目的とした基準点の考案　：　（ポスター）第51回全国自治体病院学会　2012年11月
◇　（口演）第41回日本IVR学会総会　2012年6月
　・　脳血管撮影における被ばく線量基準点の提案
　・　脳血管内治療における放射線被ばく管理ガイドライン策定に向けた取り組み
◇　脳血管IVRにおける被ばく線量の実態調査・ガイドライン化を目指して　：　
　　　　　（課題研究報告）第26回全国循環器撮影研究会総会・学術発表大会　2012年4月
◇　頭頚部血管内治療における被曝線量の実態　：　（技師講演）第283回循環器画像技術研究会　2012年3月
◇　頭頚部血管内治療の被曝管理ガイドライン制定に向けた取り組み　：　（技師講演）第283回循環器画像技術研究会　2012年3月
◆　脳血管内治療の放射線被曝の実態と被曝低減技術　〜 脳IVRにおける被ばく線量の実態調査 〜　：
　　　　　（論文）循環器画像技術研究　No.30-1　2012年2月
◆　脳IVRにおける被ばく線量の実態調査について　：　（論文）全国循環器撮影研究会雑誌　NO.24　2012年2月
◇　血管内治療は本当に低侵襲か：Evidence と Experience（合同シンポジウム）
　・ 脳血管内治療における被ばく線量の実態調査　：　（口演）第27回日本脳神経血管内治療学会学術集会　2011年11月
◇　（ポスター）第27回日本脳神経血管内治療学会学術集会　2011年11月
　・ 脳IVRにおける被ばく線量の実態　第１報−脳動脈瘤塞栓術（破裂瘤・未破裂瘤）について−
　・　〃 第2報−頚動脈に対するステント留置術について−
　・　〃 第3報−AVM・AVF・CCF塞栓術について−
　・　〃 第4報−その他IVRについて−
　・　〃 第5報−脳血管内治療の放射線被ばくの実態について−
　・　〃 第6報−被ばく管理ガイドライン（案）について−　（★ポスターセッション金賞受賞）
◇　続報！脳血管IVR被ばく調査　：　（講演）第65回新潟アンギオ画像研究会　2011年11月
◇　脳IVRにおける被ばく実態調査　：　（講演）第12回千葉アンギオ技術研究会　2011年7月
◇　頸動脈ステント留置術に対する多施設調査　：　（口演）第10回日本頸部脳血管治療学会　2011年6月
◇　脳血管内治療の放射線被曝の実態と被曝低減技術　：　（シンポジウム）第275回循環器画像技術研究会　2011年5月
　　　　　循環器撮影技師に必要な知識と技術（スペシャリストは必要ですか？）
◇　脳IVRにおける被ばく線量の実態調査　：　（HP報告）全国循環器撮影研究会・平成22年度課題研究　2011年4月

（活動報告）
◇　2013年度　2012年度　2011年度、　2010年度

（論文）JNET（脳神経血管内治療：Journal of Neuroendovascular Therapy）, Vol.8, No.5, Novenver, 2014, pp 305-312

脳血管内治療における患者被ばく線量の評価　−アンケート調査にもとづく推定−
（★ 第31回 脳神経血管内治療学会学術総会において　「優秀JNET論文賞 『銀賞』」　を受賞）

今関 雅晴（千葉県循環器病センター 検査部放射線科）
川�ｱ 康平（千葉県循環器病センター 検査部放射線科）
長谷川 亮太（千葉県がんセンター 画像診断部）
高橋 宏之（千葉県がんセンター 画像診断部）
鈴木 宏明（東京慈恵会医科大学附属病院　放射線部
佐藤 和彦（亀田総合病院 画像診断室）
太田 丞二（千葉大学医学部附属病 放射線部）
粟井 一夫（榊原記念病院 放射線科）
小林 繁樹（千葉県救急医療センター 脳神経外科）
安陪 等思（久留米大学 放射線科）
小野 純一（千葉県循環器病センター 脳神経外科）
坂本 肇（山梨大学医学部附属病院 放射線部）
田島 修（埼玉県立循環器・呼吸器病センター 放射線技術部）
塚本 篤子（NTT東日本関東病院 放射線部）
菊地 達也（横浜市立大学附属市民総合医療センター放射線部）
景山 貴洋（千葉県循環器病センター 検査部放射線科）
加藤 京一（昭和大学大学院 保健医療学研究科）

要旨:
【目的】
　脳血管内治療における患者被曝線量の実態を多施設調査によって把握し，放射線安全管理に関する問題点を抽出することを目的とした．

【対象と方法】
　国内の脳血管内治療施行施設を対象としたアンケートをホームページ上で募集し，参加を希望した29 施設について調査を行った．治療時間，透視時間，総面積線量，撮影コマ数の関係，脳動脈瘤塞栓術における瘤形状および撮影装置の被曝線量を検討した．さらに頭皮表面および水晶体に入射する被曝線量を，装置表示値より変換して推定した．

【結果】
　全症例の平均治療時間，平均透視時間，平均総面積線量，平均撮影コマ数は，190.4±85.0 分，107.7±60.3 分，36.5±20.3 mGy ・ m2，1035.8±562.9 コマであった．未破裂瘤および破裂瘤に有意差はなく，シングルプレーンとバイプレーン装置間で治療時間に差はなかった．正側合算の平均総頭皮入射線量は3.8±2.1 Gy，バイプレーン装置におけるX 線管側の水晶体推定平均総入射線量は0.91±0.55 Gy であった．

【結論】
　脳血管内治療においては放射線障害におけるしきい値を超える線量が照射されている症例が存在する．頭皮および水晶体被曝に特化した放射線安全管理の標準化が必要である．

優秀JNET論文賞 『銀賞』 の受賞の様子	表彰状

2014.12.06　第30回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会　報告
（口演）演題区分 ：　技師・一般口演2　血管造影

「脳血管内治療用頭部ファントム」を用いた透視線量と画質の多施設評価

報告者　：　長谷川 亮太（千葉県がんセンター 画像診断部）

【目的】
　第19回日本脳神経血管内治療学会で安陪らが報告した「脳血管内治療用頭部ファントム」を用いて，血管撮影装置の透視線量と画質について多施設調査し，過去の結果と比較することで現状を把握する．

【方法】
　循環器画像技術研究会および千葉アンギオ技術研究会のうち脳血管内治療施行施設19施設24装置を対象とし，調査期間は2013年11月より6ヶ月であった．透視線量はスキンドーズモニタを用いてファントムに入射する線量を測定した．透視条件は，脳血管内治療で通常使用する条件とし，透視時間は1分間である．画質評価はファントム内にX線テストチャートなどの観察物を挿入し，視覚的に評価した．それらの結果と2006年の安陪らの調査結果を比較・検討した．

【結果】
　今回の結果と安陪らの報告(カッコ内)は，平均透視線量率が後頭部：9.98±4.77mGy/min(22.0±16.7mGy/min)，側頭部：6.17±2.68mGy/min(14.2±11.8mGy/min)，最小−最大透視線量率：後頭部3.48−21.90mGy/min(7.7−65.1mGy/min)，側頭部2.20−13.40mGy/min(4.6−57.9mGy/min)であった．テストチャートにて視覚的に分解できた周波数の最小−最大，中央値は1.5−5.0，2.5LP/mm(1.5−2.5，2.0LP/mm)であり，最新型の装置のなかには後頭部で4.90mGy/min，5.0LP/mmといった低線量・高分解能の装置も存在した．

【考察】
　平均透視線量率が半減し，ばらつきも少なくなっていたことから，被ばく低減の取り組みが普及し施設・装置間の格差が縮小傾向にあると推測できた．さらに今回の調査施設には「血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師」が在籍しており，被ばく低減への意識が高いことも要因のひとつと推測される．本調査では，透視パルスレート，検出器視野サイズ，観察モニタが各施設固有であり，実臨床に即した結果を捉える事ができた．今後，各々の影響を考慮した検討を加えたい．

（論文）Radiological Physics and Technology; July 2013, Volume 6, Issue 2, pp 349-355

A new reference point for patient dose estimation in neurovascular interventional radiology

Kohei Kawasaki （千葉県循環器病センター）
Masaharu Imazeki （　　　〃　　　）
Ryota Hasegawa （　　　〃　　　）
Shinichi Shiba （　　　〃　　　）
Hiroyuki Takahashi （千葉県立がんセンター）
Kazuhiko Sato （亀田総合病院）
Jyoji Ota （新座志木中央病院）
Hiroaki Suzuki （東京慈恵医科大学附属病院）
Kazuo Awai（榊原記念病院）
Hajime Sakamoto （山梨大学医学部附属病院）
Osamu Tajima（埼玉県立循環器・呼吸器病センター）
Atsuko Tsukamoto（NTT東日本関東病院）
Tatsuya Kikuchi（横浜市立大学附属市民総合医療センター）
Takahiro Kageyama（千葉県循環器病センター）
Kyoichi Kato（昭和大学藤が丘病院）

【Abstract】
In interventional radiology, dose estimation using the interventional reference point (IRP) is a practical method for obtaining the real-time skin dose of a patient. However, the IRP is defined in terms of adult cardiovascular radiology and is not suitable for dosimetry of the head. In the present study, we defined a new reference point (neuro-IRP) for neuro-interventional procedures. The neuro-IRP was located on the central ray of the X-ray beam, 9 cm from the isocenter, toward the focal spot. To verify whether the neuro-IRP was accurate in dose estimation, we compared calculated doses at the neuro-IRP and actual measured doses at the surface of the head phantom for various directions of the X-ray projection. The resulting calculated doses were fairly consistent with actual measured doses, with the error in this estimation within approximately 15 %. These data suggest that dose estimation using the neuro-IRP for the head is valid.

2012.11.15　第28回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会　報告
（ポスター）演題区分 ： コメディカルポスター　放射線技師2　被ばく

脳血管撮影における患者被ばく線量管理を目的とした基準点の考案

報告者　：　今関　雅晴（千葉県循環器病センター）

【背景および目的】
　現在，血管撮影において，リアルタイムにかつ簡便に患者被ばく線量を推計する基準点としてInternational Electrotechnical Commission（IEC）が定義するInterventional Reference Point（IRP）があるが，IRPの対象は成人心臓領域である．そこで，我々は脳血管撮影の線量評価を目的とした新たな基準点（neuro-IRP）を定義し，その妥当性について検証した．

【方法】
　neuro-IRPを定義するため，50例の成人頭部CT 画像にて第3脳室レベルの頭部径を測定した．また，様々なX線照射方向についてneuro-IRPを用いて面積線量から算出した値と，頭部ファントムを用いてPatient Skin Dosimeter (PSD）により実測した値を比較した．

【結果および結論】
　CT画像上で計測した頭部径の平均は長半径で9.2cmであったため，neuro-IRPをアイソセンタ−9cmの点とした．これは，経済産業省が発出しているsize-JPN 2004-2006にある成人の頭長18〜19cmとも矛盾しない．また，neuro-IRPを用いた計算値とPSDによる実測値は±10%程度の範囲で一致した．加えて，多様なX線照射方向を考慮する場合，基準点の集合はアイソセンタを中心とした球の表面であり，胸部よりも頭部においてその形状が類似する．すなわち，neuro-IRPを用いることにより，より正確な線量推計が可能である．

2012.6.1　第41回　日本IVR学会総会　報告
（口演）　演題区分 ： 診療放射線技師セッション

脳血管撮影における被ばく線量基準点の提案

報告者　：　長谷川　亮太（千葉県循環器病センター）

【目的】
　全国循環器撮影研究会の課題研究として、脳血管内治療における被ばく線量の実態を調査した。この調査結果より、脳血管撮影における被ばく線量基準点の提案と装置表示値を脳血管撮影の基準点に変換した空気カーマ値を報告する。

【方法】
　脳血管撮影基準点の提案を述べる。成人平均頭囲である56cm(経済通産省size-jpn2004-2006)を参考に、脳血管撮影の基準点をアイソセンタからX線管側に9cmと定義した。この基準点を基に、SID95cm、アイソセンタ75cm、FPD20cmと仮定し、距離逆二乗則および脳血管撮影の基準点での照射面積から、装置表示値（DAP）を脳血管撮影基準点空気カーマ値に換算した。

【結果】
　調査結果で得られた装置表示値を換算した脳血管撮影基準点の平均空気カーマ値は、脳動脈瘤塞栓術3.4±2.2Gy、AVM塞栓術4.8±2.1Gy、AVF塞栓術5.6±3.3Gy、CCF塞栓術3.7±3.3Gyであった。いずれの術式でも症例によるばらつきが大きく、被ばく線量が高い症例では放射線障害の発生が懸念される。なお、これらの値は1部位に当たる最大線量ではなく、正面・側面および回転撮影を含めた脳血管撮影基準点での総線量である。

【結論】
　脳血管撮影に特化した基準点を設けることにより、暫定的ではあるが装置表示値を換算して脳血管内治療における頭部皮膚表面の被ばく線量を把握できた。この線量は文献に掲載されている他診療領域のIVRと比較して多い値であり、より積極的な被ばく低減対策の実施が必要と言える。

2012.6.1　第41回　日本IVR学会総会　報告
（口演）　演題区分 ： 診療放射線技師セッション

脳血管内治療における放射線被ばく管理ガイドライン策定に向けた取り組み

報告者　：　今関　雅晴（千葉県循環器病センター）

【背景および目的】
　IVRにおける放射線障害に対しては、これまでに様々な防護策が考えられてきた。そのなかでも、日本循環器学会が策定した「循環器診療における放射線被ばくに関するガイドライン」は完成度が高く有用であるが、主に心臓領域を対象としているため脳血管領域に関する記載は少ない。一方、全国循環器撮影研究会の課題研究として実施した全国調査では、脳血管内治療の放射線被ばくについて施設間格差が明らかとなった。そこで、我々は本分野における放射線安全管理の標準化を図るため、標記ガイドラインの策定を考えた。

【ガイドライン案】
　まず、特に脳血管領域に必要と考えられる4項目を示す。
1）脳血管撮影における被ばく線量推定を目的とした基準点の考案と品質管理法の構築。
2）水晶体被ばく低減を目的とした患者用防護用具の作成と使用法の提案。
3）頭髪脱毛を防止するための被ばく低減プロトコルの提示。
4）患者および術者被ばくを低減するための新たな装置使用法の提唱。
　この他、心臓領域で既に示され脳血管領域でも利用可能な項目はそのまま引用し、ガイドライン案とする。

【まとめ】
　脳血管内治療において、放射線安全管理に必要と考えられる事項を提言した。本学会をはじめとする関連学会の意見を取り入れ、放射線安全管理の標準化を目的としたガイドラインの策定を目指している。

2012.04.14　第26回　全国循環器撮影研究会総会・学術研究発表会　課題研究報告

脳血管IVRにおける被ばく線量の実態調査・ガイドライン化を目指して

報告者　：　主任研究員　今関　雅晴（千葉県循環器病センター）

【背景および目的】
　IVRにおける放射線障害に対しては、これまでに様々な防護策が考えられてきた。そのなかでも、日本循環器学会が策定した「循環器診療における放射線被ばくに関するガイドライン」は完成度が高く有用である。しかし、主に心臓領域を対象としているため脳血管領域に関する記載は少ない。
　一方、全国循環器撮影研究会の課題研究として実施した全国調査では、脳血管内治療の放射線被ばくについて施設間格差が明らかとなった。

　そこで、我々は本分野における放射線安全管理の標準化を図るため、標記ガイドラインの策定を考えた。

【脳IVRに関する被ばくガイドライン（案）】

【まとめ】
　脳血管内治療において、放射線安全管理に必要と考えられる事項を提言した。全国循環器撮影研究会や関連学会の意見を取り入れ、放射線安全管理の標準化を目的としたガイドラインの策定を目指す。

（論文）全国循環器撮影研究会雑誌　NO.24　5-13頁　2012年

脳IVRにおける被ばく線量の実態調査について

今関雅晴 （千葉県循環器病センター）
川崎康平 （　　　〃　　　）
長谷川亮太 （　　　〃　　　）
小野純一 （　　　〃　　　）
高橋宏之 （千葉県立がんセンター）
佐藤和彦 （亀田総合病院）
太田丞二 （新座志木中央病院）
鈴木宏明 （東京慈恵医科大学附属病院）
坂本肇 （山梨大学医学部附属病院）、田島修（埼玉県立循環器・呼吸器病センター）、塚本篤子（NTT東日本関東病院）、菊地達也（横浜市立大学附属市民総合医療センター）、景山貴洋（千葉県循環器病センター）、加藤京一（昭和大学藤が丘病院）
オブザーバー：粟井一夫（榊原記念病院）、小林繁樹（千葉県救急医療センター　センター長（脳神経外科医））

【はじめに】
　近年，脳血管内治療の進歩は著しく，外科的手術と併用，もしくは根治術的な役割を果たす時代を迎えている．いずれの治療も長時間におよぶことがあり，心臓IVRで報告されている皮膚潰瘍などの放射線障害が予測されるものの，幸いにも現在のところ我々の周りでそのような事例を聞くことはない．しかし，心臓IVRにおける皮膚障害事例も当初，我々の耳に入ることはなく，皮膚科関連学会からの報告により知った経緯がある．従って,広く情報収集するとともに対策を立案しておく必要がある．
　当会では課題研究として脳血管内治療における被ばくの実態を把握し，今後の方策を立案することを目的にアンケ−ト調査を実施した．このアンケート結果はHP上で報告しており，現在は引き続き「脳IVRにおける被ばくガイドライン」策定を目指して研究活動をしている．
　今回は第27回日本脳神経血管内治療学会学術総会で発表した「脳IVRにおける被ばく線量の実態調査」を基に報告する．報告内容は以下のとおりである．

　　報告1　脳血管撮影における基準点の提案
　　報告2　破裂・未破裂動脈瘤塞栓術
　　報告3　頸動脈ステント留置術
　　報告4　AVM・AVF・CCF塞栓術
　　報告5　その他IVR
　　報告6　被ばく管理ガイドライン(案)

この報告を参考にして脳血管内治療を施行する際の被ばく低減に活用していただきたい．


■　1．脳血管撮影における基準点の提案
【背景】
　アンケート調査の結果より，患者被ばく線量の管理は，面積線量計と透視時間から推定している施設が共に44%あり，推定値の精度を向上するために脳血管領域専用の基準点が必要と考えている施設が6割あることが判明した．
【目的】
　現在，装置の品質管理や患者被ばく線量の把握方法としてIEC（国際電気標準会議）が定めたIVR基準点における線量を指標にしている手法は，リアルタイムに線量を把握することが可能である．しかし，この基準点は成人心臓領域を対象として考案されたものであり，脳血管領域でIVR基準点を使用すると被ばく線量を過大評価し，ひいては検査進行を抑制する可能性が示唆される．そこで，脳血管撮影における適正な線量評価を目的として被ばく線量基準点を考案したので報告する．
【方法】
　提案する脳血管撮影基準点は，成人平均頭囲56cm(経済通産省size-jpn2004-2006)を参考に，脳血管撮影の基準点をアイソセンタからX線管側に9cmと定義した．
【考察】
・この基準点を基に，SID95cm，アイソセンタ75cm，FPD20cmと仮定し，脳血管撮影の基準点での照射面積から，アンケートで得られた面積線量より空気カーマを算出した．被ばく線量の高い症例では，放射線障害発生の閾値を超えており，放射線障害発生の可能性が示唆された．またこの値は，多方向の加算線量であるためホットスポット線量は把握できないので今後の課題であると考える．
・この算出式より得られた値は理論値であり，実測値と異なる．異なる要因として，1）測定のジオメトリーの誤差 ，2）後方散乱の違い，3）寝台などの影響が考えられ，実際に各々の装置で測定し，簡易的な変換係数の算出を行うべきと考える．
【結語】
　脳血管撮影に特化した基準点を設けることにより，正確な線量評価を行える可能性が判明した．


■　2．破裂・未破裂動脈瘤塞栓術
【目的】
　全国の頭頸部血管内治療施行施設に対し，循環器画像技術研究会HP上にアンケートを掲載し，透視・撮影プロトコールや治療内容の詳細等について調査した．なお，調査対象期間は2010年の1年間とした．本報では破裂動脈瘤および未破裂動脈瘤塞栓術のアンケート結果に視点を置き，得られた知見を報告する．
【結果】
・回答施設および症例数は破裂動脈瘤塞栓術19施設189例，未破裂動脈瘤塞栓術18施設304例であった．破裂瘤塞栓術・未破裂瘤塞栓術の調査結果をに示す．各々平均値，最小値−最大値の順で羅列した．平均年齢はそれぞれ62.9歳，61.5歳であった．なお空気カーマは面積線量から算出した頭皮位置での推計空気カーマである．
・透視レートは15p/sを，撮影レートは3f/sを使用している施設が多い結果であった．
【考察】
・多くの施設で様々な不確定要素が多い破裂瘤は，事前に治療計画が立てられる未破裂瘤に比べ平均手技時間が長く，平均面積線量計値は高く，ばらつきも大きい．バイプレンはシングルと比較して円滑な検査進行が図れるものの，安易に透視を使用すれば総透視時間が長くなるおそれがある.
・3D構築のための回転撮影は約80％の施設で施行されている．回転撮影無しで治療を行うときの透視時間は回転撮影有りの2倍以上かかるが，面積線量は回転撮影有りの方が逆に2倍近く高くなる場合もあり,回転撮影の有無により総被ばく線量が異なることが判明した．
・線量が増大する要因を東京慈恵会医科大学附属病院のデータから探ってみると，後大脳動脈や椎骨動脈・脳底動脈など後方循環系の部位にある動脈瘤，瘤のサイズが10mmを超えるような巨大瘤，近年アシストテクニックとして用いられることの多いバルーンやステントデバイスを使用するワイドネック瘤では放射線障害が危惧されるほど被ばく線量が増大する傾向にある.今後，増加が予想されるこれらの疾患に対する手技の整理と被ばく低減プロトコールを確立しておく必要がある．
【結語】
　この課題研究から破裂・未破裂動脈瘤塞栓術における被ばくの現状を明らかにすることができた．


■　3．頸動脈ステント留置術
【目的】
　報告2と同様の目的でアンケート調査を実施，集計・分析した．本報では頸動脈ステント留置術(以下CAS)に視点を置き，報告する．
【結果】
・患者年齢の平均・最年少〜最年長は，それぞれ72±8.2歳・40歳〜99歳で，60以上の男性が8割以上を占めた．
・透視レートは15p/s，撮影レートは3f/sを使用している施設が多く，脳動脈瘤塞栓術と同様の結果が得られた．
【考察】
・CASの空気カーマ線量値は，頭蓋内の血管内治療（2Gy〜5Gy）と比較して低値（平均1.6Gy）であるが（表1），8.6Gyと高い線量の症例もあるから，CASにおいても被ばく防護対策は必須である．
・ CASでは，解剖学的に側面方向で頸部血管を分離するため，ワーキングアングルが側面方向となることが多い．ICRP pub85では，術者側に検出器（FPD，I.I.）を配置するよう勧告しているため，最近の装置は側面アームの検出器が術者側に配置できるものが増えている．しかし，古い装置を使用している施設や，心カテ装置と併用している施設などもあり，術者への防護対策が必要である．
・施設間で透視時間の差が大きく，施設により病変の難易度の違い，使用デバイスの違い，術者の技量などが異なっていると推察される．
・面積線量でもばらつきがみられ，撮影や透視レートの違い，DSA撮影回数の違いなどの要因が考えられる．


■　4．AVM・AVF・CCF塞栓術
【目的】
　報告2と同様の方法でアンケート調査を行い，得られたデータを分析した．回答施設および症例数はAVM塞栓術18施設59例，AVF塞栓術16施設57例，CCF塞栓術11施設26例であった．
【結果】
・AVM塞栓術・AVF塞栓術・CCF塞栓術の調査結果を表4に示す．各々平均値，最小値−最大値の順で羅列した．平均年齢は，36.7±14.9歳，61.9±15.3歳，62.7±16.8歳であった．なお空気カーマは面積線量から算出した頭皮位置での推計空気カーマである．
・撮影レートは3f/sが5割以上，透視レートは15p/sを設定している施設がみられた．
【考察】
・AVM塞栓術，AVF塞栓術，CCF塞栓術では，透視時間や面積線量が高い傾向がみられ，推定した空気カーマからも放射線障害の発生が懸念された． この放射線障害を抑えるためには，撮影および透視レートを低く設定したいところであるが，これらの手技には高い撮影・透視レートが要求されることが多い．さらに，施設間較差が生じていたことより，放射線障害がなく，かつ治療手技に影響のない透視・撮影が施行できるよう術者と診療放射線技師がそれぞれ被ばく低減について検討することが必要である．
・各々の治療手技平均時間で3時間以上，平均透視時間は80分以上であり，他の脳IVRの疾患と比較すると高い値である.手技時間を要するIVRは,透視レートを少なくする,若しくはパルス当たりの線量を減らすなどの工夫が必要である.
【結語】
　脳血管IVRに携わる診療放射線技師は手技および使用装置を十分に把握し，被ばく線量を低くする助言をすることで，放射線障害の防止に努める必要がある．


■　5．その他のIVR
【目的】
　報告2と同様の目的でアンケート調査を実施，集計・分析した．本報では少数例のIVRを取り上げる．
【結果】
・全体として手技・透視時間，被ばく線量にバラツキがあり，放射線障害の発生が懸念される症例が報告された．
・血行再建術と塞栓術を併せて行う術式がある．この場合，IVRだけで2〜5時間を要し，総施術時間は10時間を超える．
・merci retriever血栓除去術はデバイス承認後間もない手技なので，未習熟なこともあり，被ばく線量の多い症例が報告された．また,頸動脈プラークが塞栓源として確認された場合，CASを追加することがあるので，更なる被ばく線量増加の可能性がある．
・Erill動注は，薬剤の効果持続時間が短いこと．また一旦改善しても，数日中にスパズムを起こすことがあり再動注になることが多い．このための被ばく線量の増加が懸念される．
【考察】
・検査数の少ない症例や，新たな手技・デバイスを導入する場合，習熟するまでは透視時間が長くなり，その結果被ばく線量が多くなる可能性が高い．ロードマップ透視や低線量で長く撮影できるモードを作成して，被ばく線量低減策を準備しておく必要がある．
・担当する診療放射線技師も手技に不慣れなため，検査時間の遅延による被ばく線量増加の一因となることがある．検査マニュアルなどを整備して手技に熟達しておく必要がある．


■　6．被ばく管理ガイドライン(案)
【目的】
　現在，血管撮影における放射線被ばくに関しては，日本循環器学会から「循環器診療における放射線被ばくに関するガイドライン」が勧告され，安全を図る努力がなされているが，このガイドラインの大部分は心臓を対象としており，脳血管IVRには足らない箇所が見受けられる．今回のアンケート調査でも回答施設の約8割が脳IVRの放射線被ばく管理に関するガイドライン制定の必要性を認めている．そこで本報では，今回実施したアンケート調査を参考にして，脳血管IVRに関する放射線安全管理ガイドラインを提案する．

　なお，循環器領域のガイドライン等で勧告された以下の基礎項目は，頭頸部においても
　必須である．
　　・　透視時間の短縮と撮影回数の低減　
　　・　低レートパルス透視の選択
　　・　照射野を絞る　　　　　　　
・　検出器を患者に近付ける
　　・　付加フィルタの使用　　　　　　
・　他

【まとめ】
　われわれは，技術部門だけでなく，日本脳神経血管内治療学会専門医の意見も参考にしてガイドラインの制定を目指している．脳血管IVRに関する放射線安全管理ガイドラインを策定することにより，脳血管内治療に携わる診療放射線技師と脳血管内治療医が，共通の認識の基で，被ばく低減技術を身に付け実践することが可能になり，放射線障害の発生を最小限に抑えることに繋がると考える．
【謝辞】
　報告を終えるにあたり,貴重なご助言をいただいた榊原記念病院　粟井一夫先生,千葉県救急医療センター長　小林繁樹先生にこの場を借りて深謝致します.

2011.11.24　第27回　日本脳神経血管内治療学会学術集会　報告
（口演）　演題区分 ： 血管内治療は本当に低侵襲か：Evidence と Experience（合同シンポジウム）

脳血管内治療における被ばく線量の実態調査

報告者　：　今関　雅晴（千葉県循環器病センター）

【目的】
　脳動脈瘤治療の第一選択がカテ−テル治療となり、多くの患者様に施術される時代を迎えている。いずれの治療も長時間におよぶことがあり、心臓IVRで報告されている皮膚潰瘍などの放射線障害が予測されるが、本邦ではあまり報告事例を見受けない。そこで、全国循環器撮影研究会では、脳血管内治療における被ばくの実態を把握し、今後の方策を立案することを目的にアンケ−ト調査を実施した。

【方法と対象】
　全国の頭頸部血管内治療施行施設を対象に循環器画像技術研究会HP上にアンケ−トを掲載し、29施設から1028症例の回答を得た。調査期間は2010年1月から12月までの1年間である。得た回答を疾患別に分類して、放射線障害発生の確率が高い症例を考察するとともに対策を検討した。

【結果】
　脳動脈瘤塞栓術、AVM塞栓術、AVF塞栓術、CCF塞栓術における平均治療手技時間は3時間以上、平均透視時間は80分以上(正側合算)であり、治療手技時間が約14時間、透視時間が約10時間(正側合算)という症例も報告された。

【まとめ】
　医療における放射線被ばくは、IVRに伴う副作用のひとつに過ぎないが、今回の調査で判明した長時間透視症例では、放射線による皮膚障害が発生する可能性があり、皮膚潰瘍が発生した場合、低侵襲治療とは言い難くなる。脳血管内治療を安全で低侵襲なものとするためには、事前のインフォ−ムドコンセントと手技中の線量測定、そして被ばく低減技術を含めた被ばく管理が重要であり、今回の調査結果から放射線安全管理や品質管理を包括したガイドラインの必要性が示唆された。

2011.11.24　第27回　日本脳神経血管内治療学会学術集会　報告
（ポスター）　演題区分 ： 放射線技師7（被曝調査）

脳IVRにおける被ばく線量の実態 第１報−脳動脈瘤塞栓術（破裂瘤・未破裂瘤）について−

報告者　：　鈴木　宏明（東京慈恵会医科大学附属病院）

【目的】
　全国循環器撮影研究会では、頭頸部血管内治療における治療の実態を把握するために、課題研究として全国規模のアンケート調査を行った。本報では破裂動脈瘤および未破裂動脈瘤塞栓術のアンケート結果に視点を置き、得られた知見を報告する。

【方法】
　全国の頭頸部血管内治療施行施設に対し、循環器画像技術研究会HP上にアンケートを掲載し、透視・撮影プロトコールや治療内容の詳細等について調査した。なお、調査対象期間は2010年の1年間とした。回答施設および症例数は破裂動脈瘤塞栓術19施設189例、未破裂動脈瘤塞栓術18施設304例であった。【結果】未破裂動脈瘤塞栓術（以下：未破裂瘤）と破裂脳動脈瘤塞栓術（以下：破裂瘤）の治療手技時間、透視時間、面積線量の平均はそれぞれ、176.3±76.5分・210.0±84.7分、92.9±55.8分・84.1±53.9分、27.8±16.6mGy･m2・46.1±26.5mGy･m2であった。透視レートは15p/sを、撮影レートは3f/sを使用している割合が未破裂瘤および破裂瘤共に5割以上を占める結果であった。

【考察】
　大多数の施設で破裂瘤は、未破裂瘤に比べ平均手技時間が長く、平均面積線量計値は高く、ばらつきも大きい。未破裂瘤が、事前に治療計画が立てられるのに対して、破裂瘤では様々な不確定要素が多いため、ばらつきが大きいと考えられた。また脳動脈瘤塞栓術は、瘤の形状やサイズ、発生部位や使用するデバイスにより治療手技時間と透視時間が異なるものと考える。


ポスター発表会場にて

2011.11.24　第27回　日本脳神経血管内治療学会学術集会　報告
（ポスター）　演題区分 ： 放射線技師7（被曝調査）

脳血管内治療における被ばく線量の実態調査 第2報−頚動脈に対するステント留置術について−

報告者　：佐藤　和彦（亀田総合病院）

【目的】
　第1報と同様の目的でアンケート調査を実施した。第2報では頸動脈ステント留置術（以下：CAS）に視点を置き、得られた知見を報告する。

【方法】
　第1報と同様の方法でアンケート調査を行い、得られたデータより、集計・分析した。回答施設および症例数は19施設、237症例であった。

【結果】
　患者年齢の平均・最年少〜最年長は、それぞれ72±8.2歳・40歳〜99歳で、8割が男性であり、調査した疾患群で最も平均年齢が高い結果となった。治療手技時間の平均・最小〜最大は124.4±60.2分・35分〜355分、同様に透視時間は39.5±27.2分・6.2分〜166.9分、面積線量は15.9±14.5 mGy･m2・1.1 mGy･m2〜83.2 mGy･m2であった。CASは脳動脈瘤塞栓術、AVM塞栓術、AVF塞栓術、CCF塞栓術と比較すると、短い透視時間および治療手技時間で、ばらつきは比較的少ない結果であった。透視レートは15p/sが5割を占め、撮影レートは3f/sが6割であった。

【考察】
　頭蓋内の塞栓術と比較して、皮膚被ばく線量は低いと推測されるが、頸部の前面や顔面、うなじは心臓領域と異なり露出しているので人目に触れやすく、患者QOLを維持するためにも皮膚障害は避ける必要がある。さらにワーキングアングルがほぼ一定のため、高線量域を分散する必要が発生した場合は工夫が必要であるまたCASはプラークの性状や血管の形態により、デバイスを使い分けてIVRを施行しているので、デバイスの違いも比較検討する必要がある。

2011.11.24　第27回　日本脳神経血管内治療学会学術集会　報告
（ポスター）　演題区分 ： 放射線技師7（被曝調査）

脳IVRにおける被ばく線量の実態 第3報−AVM・AVF・CCF塞栓術について−

報告者　：　長谷川　亮太（千葉県循環器病センター）

【目的】
　第1報と同様の目的でアンケート調査を実施した。第3報ではAVM、AVF、CCF塞栓術に視点を置き、得られた知見を報告する。

【方法】
　第1報と同様の方法でアンケート調査を行い、得られたデータより、集計・分析した。回答施設および症例数はAVM塞栓術18施設59例、AVF塞栓術16施設57例、CCF塞栓術11施設26例であった。

【結果】
　AVM塞栓術・AVF塞栓術・CCF塞栓術の治療手技時間の平均はそれぞれ193.4±89.5分・280.5±140.5分・307.7±177.9分であり、いずれの手技においても600分を超える症例がみられた。同様に透視時間の平均は、83.2±61.6分・126.8±84.6分・150.4±123.1分であり、他の疾患の透視時間と比較すると長時間であった。面積線量の平均は、それぞれ46.3±20.7mGy･m2・53.7±32.2mGy･m2・35.7±31.4mGy･m2であった。患者年齢の平均・最年少〜最年長は、36.7±14.9歳・1歳〜63歳、61.9±15.3歳・24歳〜85歳、62.7±16.8歳・23歳〜86歳で、AVM塞栓術は他のIVRと比較すると若年層の割合が多い結果であった。透視レートは15p/sを、撮影レートは3f/sを5割以上が設定しており、撮影レートでは最大15f/sを設定している施設がみられた。

【考察】
　いずれの疾患も平均治療手技時間や平均透視時間が長く、放射線障害の発生を抑えるためには、撮影および透視レートを低く設定したいところであるが、導入動脈などの正確な位置確認には高い撮影透視レートが要求されることが多い。安全な施行のためにはワーキングアングルを含めた検討が必要である。

2011.11.24　第27回　日本脳神経血管内治療学会学術集会　報告
（ポスター）　演題区分 ： 放射線技師7（被曝調査）

脳IVRにおける被ばく線量の実態 第4報−その他IVRについて−

報告者　：　川�ｱ　康平（千葉県循環器病センター）

【目的】
　第1報と同様の目的でアンケート調査を実施した。本報では第3報までに分類されなかった少数例のIVRを取り上げ、得られた知見を報告する。

【方法】
　第1報と同様の方法でアンケート調査を行い、得られたデータより、集計・分析した。回答施設および症例数は17施設113症例であり、7種類の脳血管内治療に細分した。

【結果】
　回答施設・症例数、手技・透視時間、面積線量の平均はそれぞれ、腫瘍摘出術前塞栓術 9施設・36例、197.7±89.9分・81.4±66.9分、62.5±56.5mGy・m2、出血に対する塞栓術 3施設・5例、144.2±79.3分・49.5±33.0分、22.2±12.3mGy・m2、脊髄硬膜動脈瘻塞栓術 1施設・4例、105.0±38.7分・44.3±20.5分、42.2±30.1mGy・m2、血行再建術に伴う脳血管塞栓術 1施設・3例、220.7±106.4分・63.6±27.0分、34.7±3.0mGy・m2、頭蓋内PTA 5施設・13例、131.4±42.3分・43.5±19.5分、19.1±8.6mGy・m2、脳血管攣縮に対するEril動注 4施設・10例、172.7±63.6分・65.7±39.8分、20.9±17.2mGy・m2、merci retrieverによる血栓除去 2施設・3例、186.7±61.1分・99.1±25.1分、46.5±12.9mGy・m2であった。

【考察】
　本調査より現在施行されている少数例のIVRについて、貴重な情報を得ることができた。手技・透視時間を要した症例について更なる検討と調査を加えたい。

2011.11.24　第27回　日本脳神経血管内治療学会学術集会　報告
（ポスター）　演題区分 ： 放射線技師7（被曝調査）

脳IVRにおける被ばく線量の実態 第5報−脳血管内治療の放射線被ばくの実態について−

報告者　：　太田　丞二（新座志木中央総合病院）

【目的】
　第1報と同様の目的でアンケート調査を実施した。本報では、IVRにおける被ばく管理の実態について報告する。

【方法】
　被ばく管理に関する項目として、被ばく管理方法、被ばく管理目標値、脳IVRにおける問題点を設問とした。回答施設は29施設であった。

【結果】
　患者被ばく線量の管理は、面積線量計と透視時間が共に4割を超える割合であり、残りは総撮影駒数を管理指標としていた。また治療中、術者に報告する被ばく線量は2Gｙが最も多かった。被ばく線量が規定値を超えた場合に皮膚障害など観察を行っている施設は5割であった。脳IVRの問題点として、水晶体の被ばく防護および管理方法について、また被ばく管理上の基準点が必要という意見が6割を占めた。

【考察】
　患者被ばくについて、高線量域の把握・推定に困難であると回答が多く、今後の脳IVRの課題点である。被ばく線量が規定値を超えた場合、経過観察している施設は5割であり、放射線障害が見逃されている可能性もある。そのため規定値を超える線量を受けた患者を経過観察する体制作りが必要である。IEC（国際電気標準会議）が定めたインターベンショナル基準点は成人心臓領域を対象としており、装置表示の空気カーマはこれを評価するために実装されたものである。したがって、装置表示値を用いて頭頸部領域の被ばく線量を推定するためには新たな換算が必要になる。頭頸部領域のIVRは、装置表示の空気カーマで管理すると実際の被ばく線量は過大評価をされてしまい、透視時間が長いほど実際の皮膚被ばく線量との誤差が大きく生じる可能性がある。今後は、諸問題の解決を試みることが必要である。

2011.11.24　第27回　日本脳神経血管内治療学会学術集会　報告
（ポスター）　演題区分 ： 放射線技師7（被曝調査）

脳IVRにおける被ばく線量の実態 第6報−被ばく管理ガイドライン（案）について−
（★ ポスターセッション金賞受賞）

報告者　：　今関　雅晴（千葉県循環器病センター）

【目的】 　現在、血管撮影における放射線被ばくに関しては、日本循環器学会から「循環器診療における放射線被ばくに関するガイドライン」が勧告され、安全を図る努力がなされているが、このガイドラインの大部分は心臓を対象としており、脳血管IVRには足らない箇所が見受けられる。そこで本報では、今回実施したアンケート調査を参考にして、脳血管IVRに関する放射線安全管理ガイドライン（案）を提案する。 【方法】 　アンケート調査から、脳血管IVRにおける被ばく管理の問題点を抽出し整理した。 【結果】 　アンケートから、患者の年齢、性別、検査時間、各線量、透視パルスレート、撮影フレームレートなどを疾患別に分類し、標準化の可否を検討した。 【まとめ】 　今回のアンケート調査は、ガイドライン制定のためのデータ収集も目的のひとつであった。その結果、アンケート回答施設の約8割が脳IVRの放射線被ばく管理に関するガイドライン制定の必要性を認めている。われわれは、技術部門だけでなく、日本脳神経血管内治療学会認定医の意見も参考にしてガイドラインの制定を目指している。

ポスターセッション金賞の授賞式

2011.7.2　第12回　千葉アンギオ技術研究会　報告
（講演）　演題区分 ： トピックス2

脳IVRにおける被ばく実態調査

報告者　：　高橋　宏之（千葉県がんセンター）

【目的】
　脳動脈瘤治療の第一選択がカテーテル治療となり、多くの患者様に施術される時代を迎えている。また、CCFやDural AVMでも脳外科医が積極的にカテーテル治療を選択するようになっている。いずれの治療も長時間におよぶことがあり、皮膚障害や一過性脱毛などの放射線障害が発生していると予測されるが、その実態は明らかでない。全国循環器撮影研究会では、脳血管内治療における被ばくの実態を把握することを目的に課題研究としてアンケート調査を実施した。

【方法と対象】
　調査対象施設は、脳血管内治療を施行している施設で、調査期間は2010年1月から12月の1年間とした。調査方法は、循環器撮影技術研究会のホームページにアンケートを掲載し、全国の頭頸部IVR施行施設から、手技・透視時間、透視・撮影プロトコル、および治療内容の詳細等について、e-mailで回答を得た。
　脳血管内治療の種類は、脳動脈瘤塞栓術（破裂・未破裂）、AVM塞栓術、AVF塞栓術、CCF塞栓術、局所線溶療法、頸動脈血管拡張術、選択的動注化学療法、その他について分類した。回答施設数は29施設、回答症例数は1028例であった。

【結果】
　疾患別に治療手技時間や透視時間が広く分布しており、治療が容易、もしくは難渋する病態が各々の疾患に認められた。脳動脈瘤塞栓術、AVM塞栓術、AVF塞栓術、CCF塞栓術では、平均治療手技時間で3時間以上、平均透視時間（正側合算）でも80分以上であり、被ばく線量のモニタリングおよびインフォームドコンセントの重要性が再認識された。難渋したケースでは、治療手技時間で約14時間、透視時間が約10時間（正側合算）という症例も報告された。

【結語】
　脳IVRにおける被ばくの実態が明らかとなった。皮膚被ばく線量と併せて水晶体の被ばく線量を把握する方法を検討し、これについて対処が必要である。長時間にわたる治療は、被ばく低減技術次第で、患者および術者の被ばく線量に大きな差が生じてしまう。従って医師・技師協力体制での被ばく低減を積極的に行うことが必要である。また放射線による合併症が考えられる場合、追跡調査する体制作りは今後の課題であると考えられた。さらに、以上の問題点を考慮した脳IVRに関するガイドラインの要望が多いことが明らかとなった。

【謝辞】
本調査にご協力いただきました方々に、心より御礼申し上げます。
詳しい報告内容は、全国循環器撮影研究会ホームページを御覧ください。


発表の様子

2011.6.12　第10回　日本頸部脳血管治療学会　報告
（口演）　演題区分 ： 一般口演12　コメディカル

頸動脈ステント留置術に対する多施設調査

報告者　：　川�ｱ　康平（千葉県循環器病センター）

【目的】
　頭頸部疾患に対する治療として血管内治療が選択され、多くの症例に適用される時代を迎えている。頸動脈狭窄症に対する治療法としては、頸動脈内膜剥離術と共に頸動脈ステント留置術（以下：CAS）が近年増加傾向である。全国循環器撮影研究会では、頭頸部血管内治療における治療の実態を把握するために、課題研究として全国規模のアンケート調査を行った。
　今回はCASに視点を置き、得られた知見を報告する。

【方法】
　全国のCAS施行施設に対し、e-mailにて透視・撮影プロトコル、施行医、患者麻酔状況、および治療内容の詳細等について調査した。なお、調査対象期間は2010年の1年間とした。

【結果】
　透視レートは15p/sの施設が70%、10p/sが10%、7.5p/sが20%であり、撮影レートは4f/sと3f/sがそれぞれ半数を占めた。施行医について、第1術者は90%以上の施設で脳神経外科が担い、残りは循環器内科であった。第2術者は80%の施設で脳神経外科、次いで放射線科、循環器内科の順であった。麻酔は全身麻酔が45%、局所麻酔が55%であり、治療手技時間・透視時間に麻酔別の差はみられなかった。3D構築目的の回転撮影は約半数の施設で施行されていたが、これによる治療手技時間・透視時間の延長や短縮はみられなかった。治療手技時間は平均135±54.9分、最大338分、最少50分、同様に透視時間は49.6±30.3分、167分、14分であった。

【おわりに】
　本抄録は、アンケート回収直後（17施設）の速報として作成した。発表当日は詳細な解析に識者の見解・考察を加え、報告する予定である。

2011.4.10　全国循環器撮影研究会　報告（東日本大震災のためHP掲載での発表報告）
（HP報告）　平成22年度課題研究

脳IVRにおける被ばく線量の実態調査

★　詳細内容は全国循環器撮影研究会HPをご覧下さい。　★
http://plaza.umin.ac.jp/~zen-jun/public_html/kadai_kenkyu/H22_nouIVR_hibaku/index.html

報告者　：　今関　雅晴（千葉県循環器病センター）

【目的】
　脳動脈瘤治療の第一選択がカテーテル治療となり，多くの患者様に施術される時代を迎えている．また，CCFやDural AVMでも脳外科医が積極的にカテーテル治療を選択するようになっている．いずれの治療も長時間におよぶことがあり，皮膚障害や一次脱毛などの放射線障害が発生していると予測されるが，その実態は明らかでない．
　当研究会では，脳血管内治療における被ばくの現状や問題点を明らかにし，また，各施設で諸問題に対してどのように対処・解決しているのか，実態を把握することを目的にアンケート調査を実施した．

【調査方法】
調査対象施設　：　脳IVRを施行している施設
調査対象期間　：　2010年1月1日〜2010年12月31日
アンケート内容　：　施設・装置概要，検査・治療スタッフ構成，被ばく管理，IVR基準点について，症例毎の治療手技時間，透視時間，撮影フレーム数など被ばくについての設問
IVR種類：脳動脈瘤塞栓術（破裂・未破裂），AVM塞栓術，AVF塞栓術，CCF塞栓術，局所線溶療法，頚動脈血管拡張術（以下CAS），選択的動注化学療法，その他
回答施設数　：　29施設　（80例以上：3施設，40〜79例：8施設，40例以下：12施設）
回答症例数　：　1028例　※ 6施設は症例回答無し
症例　：　破裂脳動脈瘤塞栓術：154例，未破裂脳動脈塞栓術：304例，AVM塞栓術：59例，AVF塞栓術：57例，CCF塞栓術：26例，局所線溶療法：19例，CAS：237例，動注化学療法：59例，その他：113例

【結語】
・ 脳IVRにおける被ばくの実態が明らかとなった．
・ 皮膚被ばく線量と合わせて水晶体の被ばく線量を把握する方法の検討・対処が必要である．
・ 長時間にわたる治療は，被ばく低減技術次第で，患者および術者の被ばく線量に大きな差が生じてしまう．従って医師・技師協力体制での被ばく低減を積極的に行うことが必要である．
・ 放射線による合併症が考えられる場合，追跡調査する体制作りは今後の課題であると考えられた．
・ 以上の問題点を考慮した脳IVRに関するガイドラインの要望が多いことが明らかとなった．

【本研究に対するご意見】
・ これから脳血管内治療に参加する方の各施設ごとでの教育方法について教えて欲しい．
・ 脳外IVRが昨年から始まったばかりで，症例ごとの条件を記載できません．以前出されたガイドラインを脳外科医師にも警鐘が必要と思います．
・ デバイスの進歩は著しく我々コメディカルも知識を身につけなければなりません．最新の治療法やデバイスなどについて勉強会などの開催を希望します．
・ 当院では脳血管IVRがあまり多くないので，他施設の状況など詳細に知りたい．
・ 当院はまだ頭部のIVR件数が少ないので，他施設で技師が工夫していることがあれば教えていただきたい．

【謝辞】
　本調査にご協力いただきました方々に，心より御礼申し上げます．
　不明な点や質問がございましたら，お手数ですが下記宛先までご連絡下さりますようお願いいたします．感想やご意見もお待ちしております．

　最後に，この度の東日本大震災で被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます．そして1日も早い復旧を祈念いたします．

千葉県循環器病センター 放射線科
〒290-0512 市原市鶴舞575
今関雅晴
電話：0436-88-3111
e-mail：imazeki＠bg.wakwak.com

★　詳細内容は全国循環器撮影研究会HPをご覧下さい。　★
http://plaza.umin.ac.jp/~zen-jun/public_html/kadai_kenkyu/H22_nouIVR_hibaku/index.html

「脳血管IVRにおける被ばく実態調査」について
アンケート調査へのご協力のお願い　（〆切 ： 平成23年1月31日）　（終了しました）

平成22年11月吉日
放射線部（科）技師長　殿
血管撮影担当者　殿

全国循環器撮影研究会　脳血管IVR被ばく線量調査班　主任研究員　今関　雅晴

「脳血管IVRにおける被ばく実態調査」について　アンケート調査へのご協力のお願い

　「アンケート用紙」 は こちらを クリック　

謹啓

　木枯しが吹きすさぶ頃、皆様にはますますご隆昌の事と存じます.
　日頃は本会の活動にご理解とご協力を賜わりまして、誠にありがとうございます.

　さて、当研究会脳血管IVR被ばく線量調査班では、今年度の課題研究の一環として“脳血管IVRにおける被ばく線量の実態”を把握するため、下記のとおりアンケート調査をお願いすることに致しました.

　脳動脈瘤治療の第一選択がカテーテル治療となり、多くの患者に施術される時代を迎えています.また、CCFやDural AVMでも脳外科医が積極的にカテーテル治療を選択するようになりました.いずれの治療も長時間におよぶことがあり、皮膚障害や一次脱毛などの放射線障害が発生していると予測できますがその実態は明らかではありません.
　当研究会では、この調査により脳血管内治療における被ばくの現状や問題点を明らかにし、また、各施設で諸問題に対してどのように対処・解決しているのか、実態を把握したいと考えております.
つきましては、お忙しいところ誠に恐縮ですが、添付いたしましたアンケートにご回答の上、メールにてご返信くださいますようお願い申し上げます.

　なお、調査結果につきましては、平成23年4月9日（土）に開催される第25回全国循環器撮影研究会総会・学術大会および関連学会で報告し、皆さまへ還元させていただきます.また、これからの当調査班活動の研究テーマとして取り上げたいと考えていますので、ご了承の程お願い申し上げます.

　アンケートについてのお問い合わせは、下記問い合わせ先までお願いいたします.
　今後とも当研究会の活動に、ご指導そしてご協力の程お願い申し上げます.

謹白

　　　　　　記

対　　象　：　脳血管内治療を施行している施設
内　　容　：　別添のとおり　
　　　　　　　○ 基本情報アンケート
　　　　　　　○ 術式別被ばく線量記入表　（9分類）
回答〆切　：　平成23年1月31日（月曜日）
返 信 先　：　imazeki●bg.wakwak.com　←　●を＠に変えて送信願います

問い合わせ先：　千葉県循環器病センター　放射線科　今関雅晴
Tel.　0436-88-3111（2131）　Fax.　0436-88-3032
e-mail.　 imazeki●bg.wakwak.com　←　●を＠に変えて送信願います

2012年度　脳血管IVR被曝線量調査班　活動報告

班　長　：　今関　雅晴　（千葉県循環器病センター）
班　員　：　太田　丞二　（新座志木中央病院）
　　　　：　川�ｱ　康平　（千葉県循環器病センター）
　　　　：　佐藤　和彦　（亀田総合病院）
　　　　：　鈴木　宏明　（東京慈恵医科大学附属病院）
　　　　：　高橋　宏之　（千葉県立がんセンター）
　　　　：　長谷川亮太　（千葉県循環器病センター）
オブザーバー　：　粟井　一夫　（榊原記念病院　放射線科技師長）
　　　　　　　：　安陪　等思　（久留米大学病院　放射線医学講座主任教授）
　　　　　　　：　小林　繁樹　（千葉県救急医療センター　センター長（脳神経外科））

【活動目的】
　脳血管内治療の患者被ぱく実態と放射線安全管理について発表 論文報告する

【活動報告】
　・第26回全国循環器撮影研究会総会・学術発表大会（2012年4月）
　　「脳血管IVRにおける被ばく線量の実態調査・ガイドライン化を目指して」（報告者：今関雅晴）
　・第41回日本IVR学会総会（2012年6月）
　　「脳血管撮影における被ぱく線量基準点の提案」（報告者：長谷川亮太）
　　「脳血管内治療における放射線被ぱく管理ガイドライン策定に向けた取り組み」（報告者：川崎康平）
　・第51回全国自治体病院学会（2012年11月）
　　「脳血管撮影の患者被ばく線量評価を目的とした基準点の考案」（報告者：川崎康平）
　・第28回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会（12012年11月）
　　「脳血管撮影における患者被ぱく線量管理を目的とした基準点の考案」（報告者：今関雅晴）
　・Radiological Physics and Technology　ISSN 1865-0333
　　「A new reference point for patient dose estimation in neurovascuar interventional radiology」（author：Kawasaki K）

　Radiological Physics and Technologyに論文が採択されました。現在、Journal of Neuroendovascular Theraphyに論文投稿中です。ご協力していただいている皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2011年度　脳血管IVR被曝線量調査班　活動報告

班　長　：　今関　雅晴　（千葉県循環器病センター）
班　員　：　太田　丞二　（新座志木中央病院）
　　　　：　川�ｱ　康平　（千葉県循環器病センター）
　　　　：　佐藤　和彦　（亀田総合病院）
　　　　：　鈴木　宏明　（東京慈恵医科大学附属病院）
　　　　：　高橋　宏之　（千葉県立がんセンター）
　　　　：　長谷川亮太　（千葉県循環器病センター）
オブザーバー　：　粟井　一夫　（榊原記念病院　放射線科技師長）
　　　　　　　：　小林　繁樹　（千葉県救急医療センター　センター長（脳神経外科））

【活動内容】
　上記7名の班員に2名のオブザーバーを加えて活動している。
　平成22年10月より全国循環器撮影研究会の課題研究となり、アンケート調査を全国展開した。平成23年度は、調査結果および追加実験を元に脳血管内治療の放射線安全管理に関するガイドラインについて、以下の項目を提案している。
　1.頭頚部血管撮影装置における患者および品質管理用線量把握用基準点の設定
　2.水晶体被ばくの対策
　3.頭髪の脱毛防止対策
　4.パイプレーン装置の適正使用に関する提言
　5.スタッフの防護
　6.品質管理用機器の整備
　平成23年度は、班員全員が関連学会で報告する充実した研究班活動であった。現在、これまでの活動内容を論文化し、日本脳神経血管内治療学会に投稿中である。

【活動報告】
　・全国循環器撮影研究会・平成22年度課題研究（2011年4月）
　　「脳IVRにおける被ばく線量の実態調査」（報告者：今関雅晴）
　・第10回日本頚部脳血管治療学会（2011年6月）
　　「頚動脈ステント留置術に対する多施設調査」（報告者：川崎康平）
　・第12回千葉アンギオ技術研究会（2011年7月）
　　「脳IVRにおける被ばく実態調査」（報告者：高橋宏之）
　・第65回新潟アンギオ画像研究会（2011年11月）
　　「続報！脳血管IVR被ばく調査」（報告者：今関雅晴）
　・第27回日本脳神経血管内治療学会学術集会（2011年11月）
　　合同シンポジウム：血管内治療は本当に低侵襲か：EvidenceとExperience
　　「脳血管内治療における被ばく線量の実態調査」（報告者：今関雅晴）
　　ポスターセッション：脳IVRにおける被ばく線量の実態
　　「第1報−脳動脈瘤塞栓術（破裂瘤・未破裂瘤）について−」（報告者：鈴木宏明）
　　「第2報−頚動脈に対するステント留置術について−」（報告者：佐藤和彦）
　　「第3報−AVM・AVF・CCF塞栓術について−」（報告者：長谷川亮太）
　　「第4報−その他IVRについて−」（報告者：川崎康平）
　　「第5報−脳血管内治療の放射線被ばくの実態について−」（報告者：太田丞二）
　　「第6報−被ばく管理ガイドライン（案）について−」（報告者：今関雅晴）
　・第283回循環器画像技術研究会（2012年3月）
　　「頭頚部血管内治療における被曝線量の実態」（報告者：長谷川亮太）
　　「頭頚部血管内治療の被曝管理ガイドライン制定に向けた取り組み」（報告者：今関雅晴）
　・第26回全国循環器撮影研究会総会・学術発表大会（2012年4月）
　　「脳血管IVRにおける被ばく線量の実態調査・ガイドライン化を目指して」（報告者：今関雅晴）
　・第41回日本IVR学会総会（2012年6月）
　　「脳血管撮影における被ばく線量基準点の提案」（報告者：長谷川亮太）
　　「脳血管内治療における放射線被ばく管理ガイドライン策定に向けた取り組み」（報告者：川崎康平）

　当研究班にご協力いただいた多くの皆様方におかれましては、当研究班の活動にご理解・ご支援を賜りましたことを、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2010年度　脳血管IVR被曝線量調査班　活動報告

班　長　：　今関　雅晴　（千葉県循環器病センター）
班　員　：　太田　丞二　（新座志木中央病院）
　　　　：　川�ｱ　康平　（千葉県循環器病センター）
　　　　：　佐藤　和彦　（亀田総合病院）
　　　　：　鈴木　宏明　（東京慈恵医科大学附属病院）
　　　　：　高橋　宏之　（千葉県立がんセンター（旧：千葉県救急医療センター））

1. 活動目的
　脳動脈癌治療の第一選択がカテーテル治療となり、多くの患者様に施術される時代を迎えている。本研究班では、脳血管内治療における被ばくの現状や問題点を明らかにし、また、各施設で諸問題に対してどのように対処・解決しているのか、アンケート調査を行い、実態を把握することを目的とした。

2. 活動内容
　2010年6月より、上記5名にて班を構成・活動している。
　10月より全国循環器撮影研究会の平成22年度課題研究となり、調査を全国展開した。アンケート期間を2010年の1年間とし、29施設、1000症例を超える回答をいただいた。
　第25回全国循環器撮影研究会で報告予定であったが、震災の影響によりHPで報告している。結果として、脳動脈癌塞栓術、AVM塞栓術、CCF塞栓術では平均手技時間が3時間以上、平均透視時間が80分以上と長時間に及んでいる実態であった。また、アンケート回答施設の8割で脳血管IVRの放射線被曝管理に関するガイドライン制定を望んでおり、管理指標の必要性を強く認識させられる結果となった。今後は、調査により判明した諸問題に取り組む予定である（詳しい報告内容は全国循環器撮影研究会のHPをご覧下さい）。

3. 今後の報告予定
・　第10回日本頚部脳血管治療学会
　　　演題名 ： 「頚動脈ステント留置術に関する多施設調査」
　　　演　 者 ： 千葉県循環器病センタ一　川崎康平氏
・　第12回千葉アンギオ技術研究会
　　　演題名 ： 「脳IVRにおける被曝線量の実態調査」
　　　演　 者 ： 千葉県がんセンター　高橋宏之氏
・　第27回日本脳神経血管内治療学会学術総会
　　　6演題応募予定
・　第26回全国循環器撮影研究会
・　その他

　最後に、ご回答および本研究にご協力していただいた関係者の皆様に、深くお礼を申し上げます。今後とも班活動に変わらぬご支援のほどよろしくお願いします。

循環器撮影研究会≒循環器画像研究会≒循環器技術研究会≒循環器研究会≒循環器撮影技術学会≒心血管画像研究会≒循研≒CITEC