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脳梗塞
前の画像は、発症から1時間後に撮影された画像です。
特に、CT画像上では異常は認められません。
では、6時間後の画像はどうでしょうか?
モーションアーチファクトがあり、少し分かりずらい画像ですが、右の皮髄境界が不明瞭な印象があります。
発症から1日後に撮影された画像を見ますと、さきほど指摘した領域は明瞭な黒い領域と変わっています。
また、2週間後の画像では、その領域が不明瞭になっていることが確認できると思います。 |
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脳梗塞のCT所見
CT検査では発症直後、異常を指摘する事は出来ません。
CT画像上で脳組織に所見が認められるのは、およそ6時間以上経過した後と言われています。
また、2〜3週間程度経過すると、脳梗塞部分の低吸収域は不明瞭となります。
その後、再び低吸収域となります。 |
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脳血管と動脈支配領域
脳梗塞はどの血管が梗塞しているのか?範囲はどの程度か?という情報が必要です。
脳の血管は、ある程度、脳組織の支配領域が決まっています。
CT画像上、脳梗塞を認めた場合に、どの血管が梗塞しているのかということが推測できます。
その為、脳血管と支配領域を覚えておく必要があります。 |
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赤い矢印→で示す領域が、正常脳組織と比べると、低吸収域となっています。
この領域は、一番左のシェーマを見ますと、中大脳動脈領域となっています。
つまり、この画像の診断は『左中大脳動脈閉塞による脳梗塞』という事になります。
また、右の画像を見ますと、
中大脳動脈のみならず、前大脳動脈・後大脳動脈領域までもが低吸収域となっています。
この3本の血管の中枢側は内頚動脈ですので、この画像の診断は、『左内頚動脈閉塞による脳梗塞』ということになります。 |
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急性期脳梗塞のearly CT sign
脳梗塞という疾患は、時間と共に正常脳組織にダメージを与えていきますから、いち早く診断する必要があります。
しかし、脳梗塞が発症してからおよそ6時間以降にならないと、CT画像上に所見は出てきません。
そこで大切になるのが『 early CT sign 』です。
『 early CT sign 』とは…
@白質/灰白質の境界不明瞭化
A脳溝の消失
B閉塞動脈の高吸収域
です。
下の画像は意識障害にて搬送され、当日検査を行った時の頭部CT画像です。 |
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翌日、同様に頭部CT検査を行いました。
この画像を確認すると、左中大脳動脈領域が梗塞しているのが認められます。
では、当日のCTでearly CT signが認められたのでしょうか? |
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もう一度、前スライドの脳梗塞発症当日に実施したCT画像を確認してみてください。
赤い丸○で囲む場所に通常、左中大脳動脈が走行しています。
この画像をみると、左中大脳動脈の走行に合わせて高吸収域を認めます。
このように、early CT signを見逃さないことが、CT画像上で急性期脳梗塞を見逃さないポイントになります。 |