胸部xpでわかることU−心不全を中心に









●胸部X線写真でわかること
 <石川栄二:横浜市立大学附属市民総合医療センター>2006.05.13 第225回定例研究会 臨床情報講座


胸部X線写真でわかること
  • 左から立位PA、立位AP、臥位APです。同日に撮影した写真で、撮影体位、方向で胸郭や心陰影に違いが見られる。

本日のメニュー
 1) 撮影法の復習
 2) 胸部の解剖と区域
 3) 循環器機能計測
 4) 正常X線像
 5) まとめ


撮影法の復習 

撮影条件の復習
  • 管電圧(120〜140 kV)
     高圧撮影で物質透過性を高め、骨組織と軟部組織の濃度差を少なくする
  • 管電流(200〜320 mA)
     X線管の負荷を考慮した上で、小焦点で使用可能な最大電流を用いX線強度を高める
  • 撮影時間(0.05 Sec以下)
     心臓辺縁や肺血管陰影のボケをできる限り少なくする
  • 撮影距離(180〜200 cm)
     X線束を平行に近づけ、像の拡大、ボケ(半影)を最小限におさえる
胸部撮影法の復習
  • < 胸部正面 >
    肩を下げる
    肩甲骨を外す
    第6胸椎中心
    後-前方向(PA)撮影 / (AP、臥位AP)
    最大吸気で呼吸停止
胸部撮影法の復習
  • < 胸部側面 >
    両腕挙上
    胸郭中心(第6胸椎)
    右-左方向(RL)撮影 / (LR)
    最大吸気で呼吸停止
胸部撮影法の復習
  • < 胸部斜位 >
    基本は45°斜位
    心臓は RAO45〜55 / LAO55〜60
    胸郭中心(第6胸椎)
    最大吸気で呼吸停止
胸部撮影法の復習
  • < 側臥位正面 >
    発泡スチロール使用
    両腕挙上
    胸郭中心(第6胸椎)
    前-後方向(AP)撮影
    最大吸気で呼吸停止
肩と胸郭の幅の差を補うため、発泡スチロールを使用する。
立位では分かり難い、少量の胸水や気胸の観察に役立つ。

胸部の解剖と区域

胸部の解剖(縦隔)
  • 左第1弓:大動脈弓
  • 左第2弓:肺動脈
  • 左第3弓:左心耳
  • 左第4弓:左心室
  • 右第1弓:上大静脈
  • 右第2弓:右心房
AP window
(Aortic Pulmonary window)
動脈管索、左半回神経、ボタローリンパ節、上行大動脈リンパ節などが脂肪に包まれて存在する。

AP windowは通常、平坦か凹状であるが反回神経腫やリンパ節の腫大により外側に膨隆することがある。

胸部の解剖(縦隔の区域)
  • 上部縦隔
     胸骨柄下縁−第4胸椎を結ぶ線より上部
  • 前部縦隔
     胸骨と心膜前面との間
  • 後部縦隔
     心膜後面と胸椎との間
  • 中部縦隔
     心膜の前面と後面の間
胸部の解剖(肺)
  • 右肺
     上葉(3区域)
     中葉(2区域)
     下葉(5区域)
  • 左肺
     上葉(4区域)
     下葉(4区域)
肺は右が3葉、左が2葉の解剖学的な構造を持っている。
1枚の正面X線画像からその構造を判別することは出来ないため、
肺野を『肺尖野』、『上肺野』、『中肺野』、『下肺野』、『肺門部』に分けて
病変の位置を表す。
胸部の解剖(肺の区域)
  • 肺尖野
     鎖骨より上部
  • 上肺野
     鎖骨と第2肋骨の間
  • 中肺野
     第2〜4肋骨の間
  • 下肺野
     第4肋骨より下部
  • 肺門部
     肺門周囲
肺野の区域を分ける解剖学的な指標は、
鎖骨のラインと第2肋骨の下縁を結んだライン、
そして第4肋骨の下縁を結んだラインで、これにより肺野を分けている。
鎖骨のラインより上部を『肺尖野(青色)』、
鎖骨のラインと第2肋骨のラインとの間を『上肺野(赤色)』、
第2肋骨のラインと第4肋のラインとの間を『中肺野(緑色)』、
第4肋骨のラインより下部を『下肺野(黄色)』、
肺門の周囲を『肺門部(紫色)』と呼ぶ。

循環器機能計測

<心胸郭係数(比)>
Cardio Thoracic Ratio
<心容積>
Heart Volume

正常X線像

左第2弓と3弓は1弓と4弓の接線より内側にあり、見えないこともある。
横隔膜は通常右が高位。
心胸郭係数の正常値は35〜50%
立位のPAとAPでは、肺野の最大横径と正中から右心室辺縁までの距離さほど変わりないが、正中から左心室辺縁までの距離だけが1.2cmほど長くなっている。これは、肺野の横径は前後方向と後前方向では変わらないためで、右心室は心基部、つまり体の中心に位置するため拡大率が変わらないと考えられる。左心室は体の前側にありAPで拡大したと考える。
立位PAと臥位APでは、見た目にも心臓が大きくなっているのが分かるが、肺野の最大横径と正中から左心室辺縁間での距離の両方が長くなっているため、CTRはさほど変わっていない。

まとめ

胸部X線写真でわかること
  • 正常像がわかる
     正しい解剖を理解することで正常像がわかる。
  • 正常変異像がわかる
     撮影方向や撮影体位の違いを理解することで正常変異像(心陰影の見え方の違い)がわかる。
  • 異常像がわかる
     正常像、正常変異像を理解して、はじめて異常像がわかる。
  • 異常の程度がわかる
     正しい計測法を理解することで異常の程度がわかる。




循環器撮影研究会循環器画像研究会循環器技術研究会循環器研究会循環器撮影技術学会心血管画像研究会循研CITEC

inserted by FC2 system