●第27回関東甲信越JSIC報告 最近の循環器X線撮影装置の動向と技師の取り組み <佐藤久弥>
 <佐藤久弥:昭和大学横浜市北部病院>2005.10.29 コメディカル教育セミナー(2) 「PCIにおける最近のトピックス」



循環器X線撮影装置の動向

  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
循環器X線撮影装置はFPD搭載に移りつつあります。

写真撮影にたとえるならば、
写真機で撮影したネガフィルムをスキャナで取り込んでいた時代から、デジタルカメラの時代になってきたようなものでしょう。

  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
では、FPD搭載装置の特徴について見ていきましょう。

まずは装置の外観です。

FPDはI.I.に比べスリムになり患者様は、圧迫感や恐怖感から開放されました。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
次は、FPDの画質・歪みの比較です。

X線が入射する面が球形をであるI.I.は、外側が歪みますが、FPDは平らな面であるため歪みを起こしません。
これは、臨床において正確な画像が得られることを意味しています。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
解像度についてはどうでしょう。

中間ノイズ(画像を作り上げるまでの過程で発生するノイズ)を全て排除することで解像度の劣化を抑えて高画質な画像が得られます。
これは、臨床において細い血管やワイヤーなどを観察するのに有効となります。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
ダイナミックレンジも大きく異なります。

赤の点線で示した直線の部分が画像の描出に最適な部分であり、FPDはI.I.比べ長く直線性を保っています。
これは、臨床において、ハレーションが起きやすいか否かを左右します。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
被ばく低減機能も充実してきました。

フィルタの自動挿入や波尾切断を利用して被ばく低減を図っています。
これらにより、臨床において患者被ばくを極力抑えることが可能になりました。

PCI治療の方向性

  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
 現在、心臓カテーテル治療は、 薬剤溶出ステント(DES:Drug Eluting Stent 以下DES)の登場により大きく変化しています。
 DESは、長期にわたり良好な開存が期待できるため、慢性完全閉塞(CTO:Chronic Total Occlusion 以下CTO)病変に対しても閉塞部位を開通することができれば、大きな治療効果を得ることができると報告されています。

が、
日本ではすでに、CTOへの治療が数多く行われています。


当院でも、ここ数ヶ月で昨年までとほぼ同数のPCIが行われており、約1/4がPCI症例となっています。現状から予測すると150例は超えてしまう勢いです。

PCI治療(CTO除く)とCTO治療の比較

CTO治療では、治療時間もX線照射時間も大きく増加します。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
当院での状況から報告すると、

CTOでは、通常のPCIよりも1.5倍ほど治療時間が長くなります。
(治療時間: 心カテ室への入室から退出まで)

X線透視の時間では、
通常のPCIが20分前後に対し、CTO治療では平均で60分弱まで延長します。アプローチが困難な症例では1時間半や2時間以上になることもあります。
CTO治療がますます増加する状況を考えると・・・

我々の重要な、優先度の高い取り組みは 「被ばく低減」 となります。

これまでも様々な取り組みをしてきましたが、さらなる低減策を、実効性の高い低減策を考えていかなければなりません。

放射線被ばくの種類

特に被ばくが多くなるCTO治療では、医療被ばく、職業被ばくともに注意が必要であり、両者をいかに低減するかが大きな課題となります。

放射線被ばくを低減するために

被ばく低減に関与する要因としては、
  • 放射線技師としての技術
  • PCIに対する準備(カテ前情報の収集・・・)
  • 循環器X線撮影装置や周辺機器の管理
  • スタッフへの被ばく低減に対する教育・啓発
  • 被ばく低減の具体的手段・工夫
が考えられます。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
放射線技師としての技術

放射線技師はどのような状況で検査・治療に参加していても、冠動脈を立体的にイメージし観察したい部位を的確に描出できるようにしておくことが必要です。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
PCIに対する準備(カテ前情報の収集・・・)

前回の治療に使用した角度や治療の解析に利用した角度を情報として得ておくことで、必要最小限の造影を行い治療へと移行でき、被ばく低減につながります。

前回までの被ばく線量を情報として得ておくことで、局所被ばく(背中の一部分)の低減を図ることができ、X線被ばくによる皮膚障害の発生を抑制することが可能です。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
循環器X線撮影装置や周辺機器の管理

毎日、同一ファントムを用いて透視・撮影条件を確認することは、
  • 表示の誤り
  • X線出力不良
  • 条件設定の誤り
などで起こる不要な被ばくをなくすことができます。

放射線技師は、無駄な被ばくは “放射線を扱うプロ” として絶対に避けなければなりません。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
スタッフへの被ばく低減に対する教育・啓発

X線管の位置、得られる画像、さらにそれによって被ばくが多くなる場所や最も被ばくが少ないところについて、一連の流れに沿った教育を行うことが必要です。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
被ばく低減の具体的手段・工夫

被ばく低減のための様々な手段 1
  • 天井吊り式の鉛防護版
  • 鉛カーテン
  • 防護衝立
  • 鉛メガネ
  • 防護衣
  • 甲状腺ブロック


目で見る放射線防護の工夫
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
被ばく防護ラインを用いた防護

被ばく防護ラインは、被ばく低減の3原則 「距離・時間・遮蔽」 の “距離” を視覚的に利用したものです。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
被ばく防護ラインを利用することで看護師の被ばく線量を低減することが出来ました。

しかし、時間的経過とともに被ばく線量の上昇傾向が見られるようになりました。

この理由は、
  • 床を意識して検査につくと患者から目を離すことが多くなってしまう。
  • 自然に目に飛び込んでこないのでインパクトがうすい。
  • 慣れてしまうと意識しない。
等であった。
  • スライドにマウスカーソルを乗せると画像が変化します。
アプローチタイミング表示を用いた防護

X線が出ている際にやむをえず患者の訴えに対して近づく時、アプローチタイミング表示が見える “この方向からアプローチ” を貼ってみました。

I.I.が近づく方向に傾くと、I.I.本体が遮蔽物体となり頭部から胸部領域の被ばく線量は低減します。さらに、X線管が遠ざかることにより線量が低減します。
アプローチタイミング表示の成果

平均で、看護師の被ばく線量を半分まで低減することが出来ました。


まとめ

診療放射線技師は、被ばく低減に対する追及とチーム医療として十分な働きができるよう心がける必要があります。




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